今後の情報通信市場のあり方に関する見解

IV.高度情報通信ネットワーク社会に向けた現状と課題


  1. 現状と問題点
    1. 今日、特に通信とコンピュータの融合、すなわちコンピュータ・ネットワークが新たな情報伝達手段として目覚ましい勢いで発展している。産業界では、組織・業務改革のみならず、物品の調達・設計・生産・流通・販売等の効率化・統合化等の手段としてコンピュータ・ネットワークの利用が進展している。

    2. また、コンピュータ・ネットワークの新しい形態(ネットワークのネットワーク)としてインターネットの利用がユーザー主導、ニーズ主導で進展している。その特徴は、ネットワークのオープン性にあり、その結果、ネットワーク上で多様な新しいアプリケーションが自由に展開されている。

    3. このようなコンピュータ・ネットワークの発展は、種々の規制の下で品質、信頼性、安定性を確保してきた電気通信ネットワークに対して発想の転換を迫るものである。また、コンピュータの高機能化、低廉化に伴いネットワークに対する期待は一層高度化している。

    4. コンピュータ・ネットワークの一層の高度利用にとっては、高速専用回線の料金をはじめとする高い料金水準や時間と距離に基づく料金設定等が制約要因となっている。また、先進的なアプリケーションの開発・導入が未だ不十分である。さらに、安全性・信頼性にも問題がある。

  2. 課 題
    1. 高い品質、信頼性、安定性という電気通信ネットワークの特性を維持しつつ、その利便性を一層高めるためには、自由かつ低廉なアクセス・利用が可能となるよう、ネットワークのオープン化ならびに需要促進的な料金水準・体系を実現することが重要である。

    2. また、技術革新とそれに基づく新しいアプリケーションの出現など急速かつ予測不可能な変化に柔軟に対応するため、電気通信ネットワークに関する規制を撤廃・緩和するとともに、行政の裁量を排除し、競争を促進するための明確なルールを策定することが重要である。

    3. さらに、サービスの提供に不可欠な地域通信ネットワークをほぼ独占しているNTTが、その独占力を利用してアプリケーションならびにコンテンツ分野の競争を阻害することがないよう、公正競争を確保するための条件を整備する必要がある。

    4. 先進的なアプリケーションの開発のため、多様な事業者間の連携を促進するとともに、ニーズの多様化・高度化に対応してネットワーク・インフラの高度化を図る必要がある。

    5. なお、アプリケーションの開発を促すためには、行政をはじめ公共部門が率先して情報化およびネットワーク利用を進め、すでに進みつつある産業の情報化に弾みをつけるとともに、社会全体の情報化の起爆剤となることが重要である。また、これに関連して、情報通信の利用を想定していない諸制度の抜本的な見直しが必要である。


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