今後の情報通信市場のあり方に関する見解
II.国内通信市場の現状と課題
- 現状と問題点
- 85年4月、電電公社が民営化されるとともに、通信事業に競争が導入され、公社による独占体制に終止符が打たれた。その結果、10年を経た今日、数多くの事業者が新たに市場に参入し、長距離通信、国際通信、移動体通信等を中心に料金の低廉化が進展した。
- 他方、
- 相互接続が一義的には事業者間の協議に委ねられているなど公正有効競争条件が十分に整備されていないこと、
- あらゆる通信事業者とユーザーをつなぐ地域通信ネットワークがNTTのほぼ独占状態に置かれており、コスト削減、サービス向上、および公正な条件での接続のインセンティブが働きにくいこと、
- 許認可手続き等が不透明で行政裁量の余地も大きく、市場区分の存在を含めて実質的に規制緩和が進んでいないこと、
等のため、料金・サービスの多様化は米国等に比べて進展していない。また、料金の低廉化も必ずしも十分ではない。
- そのため、「新たな需要が開拓され、それによって通信事業者の発展ならびに低廉かつ良質なサービスの提供が可能となり、その結果、また新たな需要が開拓される」という好循環がみられず、通信の自由化が市場の活性化・拡大に結びついていないのが現状である。
- 課 題
- このような現状においては、地域通信ネットワークをほぼ独占し、かつ長距離通信ネットワークと一体のサービスを提供しているNTTと他事業者との間で公正かつ有効な競争が行われるような条件を整備することが不可欠である。
- また、全分野への競争の導入によって市場の活性化・拡大を図るという85年の改革の趣旨に沿って、特に地域通信市場における競争を促進することが重要である。
- さらに、競争を阻害している規制を撤廃・緩和するとともに、行政の裁量を排除し、競争を促進するための明確なルールを策定することが重要である。
- なお、通信コストの削減という観点からは、通信事業者の経営の効率化が求められるが、これも基本的には競争の一層の促進を通じて達成されるべきである。
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