経団連・UNICE会合 共同宣言
(仮訳・原文はこちら)
1995年11月23日
- 豊田章一郎(経団連会長)、フランシス・ペリゴ(UNICE会長)両共同議長による1995年11月23日の会合を機に、日欧経済界は、多国間ならびに二国間問題における経済界の利益を協力して追求するべく、建設的な努力への関与を強く再確認する。
経団連(経済団体連合会)およびUNICE(欧州産業連盟)は、共通の利益、とりわけ日欧経済・貿易関係の進展と多国間貿易システムが適切に機能することの確保に関し、予てから協力関係にある。
- 両団体は、以前から経済の競争力確保の必要性を強調してきた。競争力の確保は相互依存が進化しつつある今日において、各国政府当局の優先課題となっている。両団体は、各国の社会経済システムが、急速に変わりゆく世界経済に対して効果的に対応するための柔軟性が不足しているとの認識を共有している。
- 両団体は、日欧双方において規制改革・規制の簡素化の必要性に関して同様のアプローチをとっている。両団体は日欧双方の当局に対して、規制改革・規制の簡素化のためには迅速な行動が必要であるとの見解を強く表明している。
- 経団連は日本政府に対し、いくつかの経済セクターにおいて市場原理が機能するよう規制緩和実施の必要性をくり返し強調している。本年5月26日の経団連総会決議では、経済回復のための刺激策として規制緩和行動計画の早期実施を訴えている。
- UNICEは本年10月、欧州の規制政策に関し、過度に複雑な規制は競争力を削ぎ、企業や経済全体に不必要なコストをもたらしているという趣旨の提言を発表した。さらに、経済活動に対する政府の干渉に対する姿勢を変える必要があると主張した。
- 経団連とUNICEは、1996年3月バンコクで開催される第1回欧州アジア会議への参加が、アジア・欧州両地域の関係強化の重要な一歩となることを強調する。
- 両団体の代表者は、以下の特定項目につき、共通の見解を持つ
- 5-1 WTO(世界貿易機関)の強化:
- 経団連とUNICEは最恵国待遇と内国民待遇の原則に基づく多国間貿易体制を強く支持する。両団体は、ウルグアイ・ラウンド合意の完全実施の必要性を強調する。
さらに、特にサービス分野などウルグアイ・ラウンドで積み残された交渉分野で、各国政府が合意された期限内に満足な結果を得ることを目指して継続的に努力することを支持するものである。両団体はまた、WTOのルールと原則に従い得る各国のWTO加入と経済発展段階に応じた一定のコミットメントを支持する。
1996年12月シンガポールにおいて開催予定のWTO閣僚会議はWTOの将来的なアジェンダを決定するものであり、両団体はその準備に関わる協力を強化していく。
- 5-2 二国間主義と地域主義:
- 経団連とUNICEは、開かれた二国間ないし地域的枠組みが経済的に利益をもたらし、貿易・投資を促進すると考える。しかしながら、これらの枠組みは、法的にも実態的にもWTO整合的で、第三国に対し無差別でなくてはならず、また多国間貿易システムを弱体化させてはならない。
- 5-3 海外直接投資に関する多国間交渉:
- 経団連とUNICEは投資に関する多国間規制への支持を再確認する。両団体はOECD(経済開発協力機構)レベルで行われている交渉を注視するとともに、進展に応じて双方の当局に提言を行う。両団体は同時にWTOにおける投資協定締結を目指してジュネーブにおける諮問活動を強化する。
- 5-4 若手専門家交換プログラム:
- 経団連とUNICEは、若手大卒者ならびに若手専門家を、それぞれ日本から欧州企業に、欧州から日本企業に一定の訓練期間派遣するプログラムを支持する。両団体は双方の当局に対して現存のプログラムの強化ならびに中小企業要請への適用について提案する予定である。
- 5-5 産業協力:
- 経団連とUNICEは、日欧の競争力強化をめざした、日欧ならびに第三国市場における産業協力の強化を支持する。このため、両団体は日欧共同イニシアチブおよび、途上国や市場経済移行国に対する国際的にコーディネイトされた民間投資の促進を目的とする経団連のJAIDO(日本国際協力機構)のような民間イニシアチブ、を特に歓迎するものである。両団体は、各経済セクターを一層緊密にする方向で目下検討中の、日欧産業協力センターの強化に関する提案を、強く支持する。
- 経団連とUNICEは、日本とEUが市場経済移行国に関する協力を強化するべきことを強く主張する。こうした協力は、成長と雇用を支える主要な要因となる。市場経済移行過程の進展と貿易・投資に好ましい環境の整備を促進する。
- 経団連とUNICEは、両団体の提言が政府に理解され確実に行動に移行されるために必要となる手続きをとる所存である。
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