社会が変わる、会社も変わろう、男女の働き方を変えていこう
─働きたい人が力いっぱい、はつらつと働ける社会をめざして
(概要と目次・全文)
1995年2月8日
社団法人 経済団体連合会
女性の社会進出に関する部会
1.構成
- 個人の自由な能力発揮が、当人はもちろん会社や社会全体の活力源との時代認識を固め、多様な人材の活用の重要性、企業にとっての有効性をまず確認。
- 個人が会社で自由に能力を発揮する際の障害として、(1) 性別へのこだわり意識、(2) 会社中心の風土、(3) 育児制度の不完全さ、(4) 制度があっても残る気兼ね、(5) 労基法上の女性保護規定や結婚・出産時の退職慣行などを指摘。
- 男性にも共通するが、主として女性がはつらつと働くための提案を、(1) 会社(均等法順守、子育て支援制度、柔軟な人事メニュー等)、(2) 働く人(仕事の上での男女別意識の払拭、自己責任意識等)、(3) 政府(保育サービス多様化、女性の残業・深夜業規制の廃止等)の各々に提示。
2.ポイント
- (1) 形式面で──
-
- 経団連として初めて女性の問題に本格的に取り組む。
- 企業の立場のみならず働く個人の視点も踏まえて検討する。
(経営者、人事部長、男女社員の考えをアンケートで浮彫りに)
- 個人の生活・人生観も含めた広範な議論を展開する。
(21世紀初頭の色とりどりの人生を手紙の形式で提示)
- (2) 内容面で──
-
- 社会・会社・個人の活力は、新しい価値基準と個人の尊重の確立から。
- 女性の働き方にかかわる障害を男女共通の問題として認識。
- 多様な働き方が可能になるよう組織・制度を見直すこと。
- 均等法の順守と女性の登用を。
- 結婚退職慣行は廃止、旧姓使用の一般化を。
- フルタイマー夫婦にも使いやすい保育サービスを。
- 意欲・能力のある女性のために過度の女性保護規定の廃止を。
- (3) 実行面で──
-
- 経団連会員企業へ提案事項の総点検を要請。
- 本レポートを男女の働き方にかかわる指針・憲章とし、経営活動に活かしていくことを提唱。
- 長期的視点に立った人事戦略(安定的採用等) の立案を。
目次
はじめに
I 基本的な考え方
1.社会環境にかかわる考え方〈社会が変わる〉
(1) 成熟化時代の価値基準の変化
(2) 選択の時代の個の確立
2.会社の姿勢にかかわる考え方〈会社も変わろう〉
(1) 多様化する市場への対応
(2) 若い労働力不足への対応
(3) 多様な人材活用のための対応
(4) 活力ある社会への貢献
(5) 今こそ男女の働き方を変えるチャンス
II 男女がはつらつと働くうえでの障害とその除去のための方策〈男女の働き方を変えよう〉
1.男女がはつらつと働くうえで存在する障害
(1) 性別へのこだわりの意識
(2) 社員の同質性を前提とした会社での指示やコミュニケーション
(3) 会社中心の風土
(4) 育児・介護を十分にバックアップしえない社会的仕組み
(5) 会社の制度があっても活用できない状況
(6) 制度や慣習の硬直性
2.男女がはつらつと働くための12の提案
〔会社への提案〕
(1) 性別へのこだわりからの脱却
(2) 労働時間の自由裁量化
(3) 育児・介護と職場の両立条件の整備
(4) 社員の意欲と能力を向上させる制度
(5) 多様なライフスタイルに配慮した制度
〔働く人への提案〕
(6) 性別にこだわらない仕事の仕方
(7) 自己の行動への責任意識
(8) 家庭や地域での役割の見直し
〔政府への提案〕
(9) 保育サービスの多様化と充実
(10) 再就職希望者に対する支援
(11) 女性の働く意欲をそぐ制度の見直し
〔その他の提案〕
(12) 家事サービス支援業の発展の促進
III 2001年2月8日付け3通の手紙
──成熟社会の色とりどりの人生選択
おわりに
日本語のホームページへ