アジア太平洋地域の域内協力のあり方に関する基本的考え(骨子・全文)
1994年APEC閣僚会議・非公式首脳会議への提言
1994年11月7日
社団法人 経済団体連合会
はじめに
- 東アジア地域では、経済発展の初期段階で政府が民間部門育成のため市場に
深く関与していた。
- 民間部門が競争力をつけてくるのに伴い自由化措置や規制緩和が進められ、
域内相互間の貿易、投資、技術協力が活性化し、市場の拡大と発展がもたら
された。
- 経団連では、本年3月「アジアの持続的な発展を図るための協力(中間報告
)」るとともに、アジア隣人会議を主催した。
- 本年11月のインドネシアでのAPEC会合を前に、これまでの議論を整理
し基本的考えを明らかにする。
APECの評価
- 貿易・投資の自由化
- APEC参加各国・地域が、民間の自由な経済活動をさらに促進する形で、
貿易・投資自由化に取り組むことを支持する。
- 貿易・投資自由化に期限を設定する際には、域内各国・地域の多様性、発展
段階の差異に十分配慮すべきである。
- 人権、労働基準、環境保全などの問題は、貿易・投資自由化の議論と切り離
して解決策を探るべきである。
- GATT/WTOとの整合性を保つことを基本とすべきである。
- 域内での自由化の合意は、域外にも無条件に適用すべきである。
- NAFTA、AFTA、CER等の域内自由貿易圏の動きを注意深く見守る必要がある。
- 新たな国際経済秩序の形成に当たっては、アジアの中でも中国が積極的
に議論に参加することが重要である。中国などのGATT/WTOへの早期加盟を支持する。
- 規制緩和、競争政策の協調をAPECで取り上げるべきである。
- 域内の産業・経済協力
- 技術移転、人材育成、エネルギー、海洋資源保全、漁業、運輸、観光、電気
通信など域内共通の課題について引き続き検討すべきである。
- 域内での具体的な協力プロジェクトの立案、実施に当たっては、当初から民
間の意見を十分反映すべきである。
アジア太平洋地域の協力における日本のあり方
- 来年わが国はAPEC議長国として積極的なイニシャティブをとることが期待され
る。
- アジア各国・地域のインフラ整備、人材育成、サポーティング・インダスト
リーの育成などに官民ともに協力すべきである。
- 日本企業は技術・ノウハウを活用し、環境保全に積極的に協力すべきである。
- 規制緩和を断行し、市場開放、製品輸入の拡大に努めるべきである。
域内の民間経済界の連携強化
- 域内での企業活動の活発化に伴い、域内共通の関心事項も増えている。
- APECなど政府間の議論の場に民間経済界の声を反映させるためにも、経
済界相互の情報・意見交換が必要である。
- その一環として来年後半、APB-Netの第2回会合を大阪で開催する。
- 来年のAPEC会合に向け、経済界の意見を政府間の話し合いの場に伝え、
その実現に向け強く働きかける。
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