地方分権の実現に向けた政治的決意を期待する
1994年10月20日
北海道経済連合会
会長 戸田 一夫
東北経済連合会
会長 明間 輝行
社団法人 経済団体連合会
会長 豊田 章一郎
北陸経済連合会
会長 森本 芳夫
社団法人 中部経済連合会
会長 松永 亀三郎
社団法人 関西経済連合会
会長 川上 哲郎
中国経済連合会
会長 松谷 健一郎
四国経済連合会
会長 山本 博
社団法人 九州・山口経済連合会
会長 川合 辰雄
本格的な地方分権実現への期待と機運が高まっている。わが国が国際社会における
責任ある役割を果たすとともに、国内においては多様で活力ある豊かな経済社会を
実現するため、明治以来の官主導・中央集権型の国家システムを、今こそ民主導・
地方分権型に抜本的に改革すべきである。
このため政府は、先般の地方制度調査会中間報告を基本として年内に地方分権の大
綱方針を取りまとめ、21世紀までの5年程度の期間で地方分権の具体的成果をあげ
るべく、国を挙げて不退転の決意で取り組む必要がある。
我々全国の経済団体は、東京一極集中の是正、地域経済の振興と魅力ある地域づく
りの観点をも踏まえ、ここに村山総理はじめ政府・国会の関係者の強い指導力の発
揮を期待し、特に下記諸点を強く求めたい。
【記】
- 国・地方を通じた簡素で効率的な行政の実現
本格的な地方分権を進めるにあたっては、まず行政のあり方そのものを抜本的に見
直し、国・地方を通じた簡素で効率的な行政を実現する必要がある。このため、国
民・企業の自由な活動を制限している公的規制の廃止・緩和、行政組織のリストラ
を徹底的に進めるべきである。
- 国の役割の限定化
国の役割は国が本来果たすべき事案に限り、地域に関する行政は基本的に地方自治
体で立案・調整・実施することが地方分権の基本である。地方制度調査会の中間報
告の通り、国は、国家の存立に直接かかわる政策、国内の民間活動や地方自治に関
して全国的に統一されていることが望ましい基本ルールの制定、全国的規模・視点
で行われることが必要不可欠な施策・事業を重点的に担うこととし、それ以外の行
政は地方に移管すべきである。
- 地方の自治能力の強化
地方が自立的な行政を行うためには、地方自治体の財政基盤の強化と人材の確保が
必要不可欠である。権限移管に見合った地方税の充実等により地方の財政運営の自
主性を高めるとともに、補助金の整理合理化を進めつつ地方自治体間の財政格差を
是正するための仕組みを充実すべきである。また、地方自治体内での人材育成とと
もに、国から地方への人材の再配置、民間との人事交流等を進めるべきである。
- 地方分権推進のための体制整備
本格的な地方分権の実現のためには、政府が責任を持って地方分権推進計画を策定
し、行政分野毎に一括して権限移管等を進めるとともに、この計画の策定に参画し
その実施状況を監視する強力な第三者機関を設置する等の体制整備が必要である。
政府は、地方分権の理念や基本方針のほか、これらの手順を定めた地方分権推進法
の立案作業を早急に進め、是非とも次期通常国会における同法の制定を目指すべき
である。
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