したがって今後は、持家推進を基本としつつ、社会政策的な色彩が濃い中堅勤労者の住宅 取得支援を中心とした政策から、国民各層が豊かさを実感できる、空間性の確保された 質の高い住宅を自由に選択し取得できるようにするための政策に転換すべきである。
当面の課題としては、金融・税制上の支援策について、堅調な住宅取得、建設を下支え すべく拡充を図るとともに、住宅取得者の所得、住宅の規模・工法等による制限を緩和 するなどの措置を講ずる必要がある。
また中期的には、安定的な住宅供給を実現する観点から、住宅取得促進税制を欧米の制度 を参考としつつ、抜本的に見直すことが求められる。併せて民間の住宅金融に関しより 一層の規制緩和を進めるとともに、住宅金融公庫については、民業を補完するかたちで 政策金融としての役割を担っていく方向で、中期的にそのあり方や役割を見直していく 必要がある。
もとより土地・住宅問題の抜本的解決のためには、住宅・宅地供給の主役である民間 事業者の事業意欲を高め、またその能力を最大限に発揮させることが不可欠であり、 引き続き土地の取引、利用、開発に係わる規制の合理化を進めていく必要がある。
加えて、開発規制や容積率制限の緩和等の前提となる生活関連都市基盤の整備を促進する ことも重要な課題である。具体的には、公共投資基本計画(94年10月 7日閣議了解) に 掲げられた目標の着実な達成を図るとともに、公共事業予算の抜本的な配分見直しを進め 、住宅・宅地供給に直接結びつく、鉄道や道路、上下水道、教育機関、都市公園等の都市 基盤の整備財源を重点的に確保すべく、国・地方を通じて予算の拡充を図ることが不可欠 である。