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日本経団連 CSRインフォメーション(第10号)

発行:(社)日本経済団体連合会 社会第二本部
2007年1月24日

◆ISOにおけるSRガイダンス文書作成の動きについて

1.SRに関するワーキンググループ第4回総会が1月29日からシドニーで開催

ISO(国際標準化機構)のSR(社会的責任)に関するワーキンググループの第4回総会が、1月29日(月)〜2月2日(金)オーストラリアのシドニーで開催されます。今回は、規格第2次案(WD2)に対して各国エキスパートから寄せられたコメントから主要論点を明らかにし、その合意に向けて議論を進めることになっています。

2.第3回総会以降のワーキンググループの動き

(1) 昨年5月の第3回総会では、規格の適用範囲、SRの定義、SRの課題分野とその記載方法などについて暫定的に合意するなど、規格の内容が徐々に詰ってきました。

(2) 8月末までの3ヵ月間、3つの規格策定グループ(TG4、5、6)が積み残された課題について原案をまとめ、編集委員会に提出しました。その後、編集委員会でWD2をとりまとめて各国にコメントを求めたところ、5000を超えるコメントが提出されました(WD1へのコメント数は2200)。

(3) この背景には、3つのTGに跨る重要課題について検討を深めるためにリスボン総会で設置されたリエゾン・タスク・グループが機能しなかったことがあります。また、実際に文章化することによって、各章の相互関係や矛盾などの問題も明らかになってきました。

(4) そこで、今回のシドニー総会では、今後の作業を進める上でエキスパートの合意が不可欠な、以下の10個の共通重要課題について集中的に討議することとなりました。

  1. ISO26000の主目的は何か、この規格のユーザーとして誰を特定するか?
  2. ISO26000には最低限の要求事項を含めるべきか?
  3. ガイダンスを実用的なものとするには、どこまで明細な記述とするか?
  4. SR原則に関して独立した章を設けることは、ユーザーにとって付加価値があるか?
  5. この規格で「組織統治」の概念を扱うことが望ましいか、もしそうであれば、どのように扱うか?
  6. この規格がマネジメント・システム規格でないことに留意して、7章はどのように起草するのが望ましいか?
  7. 「ステークホルダー」概念の首尾一貫した理解と適用をどう確保するか?
  8. 「サプライチェーン」や「影響力の範囲」という用語の使用に関する懸念、(ならびにSRを適用する境界に関する懸念)にどう対処するか?
  9. WD2は企業に焦点を当てすぎているという認識や懸念にどう対応するか?また、異なる種類の組織やステークホルダー・グループ固有のアドバイスをどのように扱うか?
  10. どのすれば、各章をより効果的に統合し、整合性を高めることができるか?

(5) さらにシドニー総会では、規格化の作業スケジュールを再考する予定です。当初、WD2の後に、各国国内委員会の投票にかけるコミッティ・ドラフトを作成する計画となっていました。しかし、規格内容が成熟していないことから、WD3を作成すべきことが指摘されています。ワーキンググループの議長団から、十分な審議時間を確保しつつ、2009年1月の規格発行予定が大幅に遅れることのないよう配慮したスケジュールが提案されることが期待されています。

3.日本産業界の対応

(1) リスボン総会後のWD2の起案作業では、日本産業界エキスパートの深田静夫氏が第7章の構造を提案する暫定作業グループのリーダー、関正雄氏が第6章のSRイシューの起案グループのメンバーとして議論をリードしてきました。10個の共通重要課題は、従来から日本産業界が指摘してきた事項です。これまでの提案を踏まえて、積極的に発言していくこととしています。

(2) シドニー総会では、開会前日にワークショプを設けるなど、産業界グループ内の連携を一層強化しながら対応していく予定です。あわせて、アジア諸国と意見交換しながら、それらの国々の懸案事項などの把握にも努めることとしています。

(3) 日本経団連では、社会的責任経営部会のISO対応チームを中心に、具体的な提案をしながら、その作業をサポートしてきました。引き続き、皆様のご支援、ご協力をお願いいたします。

【本件ご連絡先】
(社)日本経済団体連合会 社会第二本部 長沢、鳥本、漆間(うるま)
  電話: 03−5204−1750
  FAX: 03−5255−6255
以上

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