ISO(国際標準化機構)SR(社会的責任)に関するワーキンググループの第3回総会が、5月15日(月)〜19日(金)ポルトガルのリスボンで開催されます。今回は、規格第1次案(WD1)に対して各国エキスパートから寄せられたコメントから論点を明らかにし、その合意に向けて議論を進めることになっています。
(1)昨年9月の第2回総会において、ガイダンス文書を起案するベースとなる前提条件や構造を定めたデザイン・スペシフィケーション(DS=設計仕様書)が合意され、実質的に規格づくりがスタートしました。
(2)DSに基づく規格案づくりは、TG4、5、6という3つの作業部会において分割して進められました。各TGの座長は、エキスパートから出されたコメントに基づいて担当する章に関する素案をまとめ、3月13日に編集委員会に提出しました。
〔各TGの役割分担〕
(3)各TGの素案は編集委員会で1つのワーキングドラフト案(WD1)にまとめられ、3月28日にエキスパートに配付されました。各国エキスパートは、4月18日締切でWD1に対するコメントを提出しています。前例を踏まえれば、コメント数は1500を越えることが予想されます。これらを分析、整理することから、リスボン総会での議論が始まることになります。
(4)WD1は、TG4、5、6がばらばらに議論してきた内容を合体させたものであり、統一感がありません。SRの定義、原則とSRイシューの関係など、TGの枠を超えて議論し、明確にすべきテーマも手付かずの状態になっています。また、規格の適用範囲やSRの定義、第7章のSRの実施に関するガイダンスにおいて、第三者認証につながりやすいマネジメント・システム規格の要素が強く出ています。こうした点が、リスボン総会での論点になることが予想されます。
(1)日本経団連社会的責任経営部会では、昨年1月に提案した日本案とも整合性をとりながら、規格の設計仕様書に基づくワーキングドラフトづくりに取り組み、3月8日に日本産業界エキスパート案をISOのワーキンググループに提案しました。
(2)日本産業界エキスパート案の主な特徴は以下のとおりです。
(3)日本産業界エキスパート案は、ISO26000という規格のたたき台になるわけではありませんが、全ての項目について文章化されている唯一の案であることから、世界各国のエキスパートが規格をイメージする上で役立っています。また、日本産業界として、ワーキンググループにおけるさまざまな角度からの議論を分析し判断する上での軸となっています。
*日本産業界エキスパート案の概要 <PDF>は、日本経団連ホームページに掲載しております。