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日本経団連 CSRインフォメーション(第8号)

発行:(社)日本経済団体連合会 社会本部
2006年4月25日

◆ISOにおけるSRガイダンス文書作成の動きについて

1.SRに関するワーキンググループ第3回総会が5月15日からリスボンで開催

ISO(国際標準化機構)SR(社会的責任)に関するワーキンググループの第3回総会が、5月15日(月)〜19日(金)ポルトガルのリスボンで開催されます。今回は、規格第1次案(WD1)に対して各国エキスパートから寄せられたコメントから論点を明らかにし、その合意に向けて議論を進めることになっています。

2.第2回総会以降のワーキンググループの動き

(1)昨年9月の第2回総会において、ガイダンス文書を起案するベースとなる前提条件や構造を定めたデザイン・スペシフィケーション(DS=設計仕様書)が合意され、実質的に規格づくりがスタートしました。

(2)DSに基づく規格案づくりは、TG4、5、6という3つの作業部会において分割して進められました。各TGの座長は、エキスパートから出されたコメントに基づいて担当する章に関する素案をまとめ、3月13日に編集委員会に提出しました。

〔各TGの役割分担〕

(3)各TGの素案は編集委員会で1つのワーキングドラフト案(WD1)にまとめられ、3月28日にエキスパートに配付されました。各国エキスパートは、4月18日締切でWD1に対するコメントを提出しています。前例を踏まえれば、コメント数は1500を越えることが予想されます。これらを分析、整理することから、リスボン総会での議論が始まることになります。

(4)WD1は、TG4、5、6がばらばらに議論してきた内容を合体させたものであり、統一感がありません。SRの定義、原則とSRイシューの関係など、TGの枠を超えて議論し、明確にすべきテーマも手付かずの状態になっています。また、規格の適用範囲やSRの定義、第7章のSRの実施に関するガイダンスにおいて、第三者認証につながりやすいマネジメント・システム規格の要素が強く出ています。こうした点が、リスボン総会での論点になることが予想されます。

3.日本産業界エキスパート案の提案

(1)日本経団連社会的責任経営部会では、昨年1月に提案した日本案とも整合性をとりながら、規格の設計仕様書に基づくワーキングドラフトづくりに取り組み、3月8日に日本産業界エキスパート案をISOのワーキンググループに提案しました。

(2)日本産業界エキスパート案の主な特徴は以下のとおりです。

  1. 途上国や中小企業にも役立つような、実践的で使い勝手の良いガイダンスとなるよう、具体的なアクションを「実践の手引き」として例示。
  2. 「マネジメント・システム規格ではない」、「適合性評価を目的としない」という前提条件を満たすため、組織が自らのニーズにあわせて選択できるメニューやアプローチを提示。
  3. あらゆる種類の組織が使える普遍的で包括的な内容とするため、SRイシューの選択や書きぶりにも留意。
  4. ステークホルダーとの対話や積極的な係わり合いによって、SR活動の実効性を向上させ、活動内容に対する信頼性を高めていくことを重視し、各章にステークホルダーとの関係を入れて、具体的なアクション例を提示。

(3)日本産業界エキスパート案は、ISO26000という規格のたたき台になるわけではありませんが、全ての項目について文章化されている唯一の案であることから、世界各国のエキスパートが規格をイメージする上で役立っています。また、日本産業界として、ワーキンググループにおけるさまざまな角度からの議論を分析し判断する上での軸となっています。

日本産業界エキスパート案の概要 <PDF>は、日本経団連ホームページに掲載しております。

【本件ご連絡先】
(社)日本経済団体連合会 社会本部 長沢、鳥本、漆間(うるま)
  電話: 03−5204−1750
  FAX: 03−5255−6255
以上

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