(1)ISO(国際標準化機構)SR(社会的責任)に関するワーキンググループの第2回総会が、9月26日(月)〜30日(金)タイのバンコクで開催されます。今回の最大の目的は、(1)ガイダンス文書を起案するベースとなる前提条件や構造を定めるデザイン・スペシフィケーション(DS=設計仕様書)をとりまとめること、(2)規格策定に関するタスクグループの設置や構成について合意することです。
(2)8月2日に出されたDS原案に対して、各国のエキスパートから600にも及ぶコメントが出されています。総会では、これらのコメントを踏まえつつ議論を行い、DSをまとめていくことになります。
(3)DS原案は、日本産業界エキスパートが提案した「The Platform+Drawer」モデル(『CSRインフォメーション』第4号参照)のように2部構成の形をとっていますが、盛り込む内容、狙いは異なっていました。また、マネジメント・システム規格の用語がちりばめられています。
(4)日本経団連では、社会的責任経営部会のISO対応チームにおいて議論し、以下の観点から、修正DS案をWGに提出しました。
(5)総会では、IOE(国際使用者連盟)、ICC(国際商業会議所)、WBCSD(持続可能な発展のための世界経済人会議)などの欧米産業界とも連携しながら、上述のような趣旨の実現を目指していくこととしています。
*DS原案と日本産業界修正DS案の比較(和文) <PDF>は、日本経団連のホームページでご覧いただけます。
(1)バンコクでの総会を前に、WGの議長を務めるカジャゼイラ氏(Mr. Jorge Cajazeira)が来日されました。そこで、日本経団連では、9月21日に社会的責任経営部会を開催し、カジャゼイラ議長とガイダンス文書の構造や内容などについて意見交換するとともに、バンコク総会を実りあるものとすべく懇談いたしました。
(2)カジャゼイラ氏は、ブラジルのスザーノ・パルプ・製紙会社で競争力担当マネージャーを務めるビジネスマン。SRが社会的課題(特に環境や貧困)の解決につながっていくとの見解を示すとともに、WGの進捗状況について説明されました。
(3)プレゼンテーションの中で、カジャゼイラ氏は、これから作成するSRに関する規格ISO26000は、(1)第三者認証を目的としない、(2)マネジメント・システム規格としないことになっていると明言しました。特に、マネジメント・システム規格については、ISO9000、14000というプロセスに関する規格は既にあり、新たなものを作る必要はないという考えを表明しました。
(4)一方で、途上国はSRが新たな非関税障壁となることを恐れており、依然として第三者認証を求める声が多い。そのため、WG総会以外での啓発活動が必要になることを指摘しました。
(5)廣瀬社会的責任経営部会長、日本産業界エキスパートからは、バンコク総会の成功に向けて、議長をサポートし、日本産業界としても尽力することを伝えました。