(1) | 調査目的 | : | 企業の2010年3月卒業の大学等新卒者の採用活動を総括し、 次年度に向けて動向を把握することを目的に1997年度より実施 |
(2) | 調査対象 | : | (社)日本経済団体連合会企業会員 1,283社 |
(3) | 調査形式 | : | 無記名式アンケート(業種・企業規模のみ記入) |
(4) | 実施時期 | : | 2010年2〜3月 |
(5) | 回答状況 | : | 425社(回答率 33.1%) |
*製造業 45.6%、非製造業 53.2% *従業員数1000人以上 70.8%、1000人未満 28.0% (業種・企業規模の無回答が1.2%) |
2010年卒採用の実施企業割合は91.1%と昨年度より4.7ポイント減少し、調査開始以来、初の2年連続減となった。なお、「実施しない」と回答した企業のうち、昨年度は新卒採用を実施していた企業は52.8%であった。
また、昨年度と比べた採用人数の増減を見ると、「増加」が14.2%に対し、「減少」が68.7%となり、7割弱の企業が今年度の採用数を抑えた。採用人数が減少した理由としては、「経営環境の悪化」が60.5%でトップとなり、他には「昨年度に例年以上の採用をしたため、今年度は適正水準に戻した」という声もあった。
一方で、来年度(2011年卒)採用を実施する予定の企業割合は87.5%と前年度より1.1ポイント増加し、昨年度の急落から若干改善した。
就職採用市場に関する設問では、2004年度調査(2005年卒)から5年間続いていた「売り手市場」評価が逆転し、64.1%の企業が「買い手市場」であったと回答、「売り手市場」と回答した企業は2.8%にとどまった。学生に対する評価では、「厳しい就職状況を認識して意欲的に動いている」といった見方がある反面、「危機感のあまり焦って目的意識を見失っている学生が多い」とする意見も目立った。
企業が選考にあたって重視した点を25項目から5つ回答する設問では、「コミュニケーション能力」が7年連続で第1位となり、選択した企業割合は81.6%と昨年度より5ポイント上昇した。上位5位までの項目は例年同様であったが、順位では「主体性」が昨年2位の「協調性」に10.3ポイントの差をつけて逆転した。
また、「専門性」が昨年と比べ8.9ポイント上昇し14位から9位へ浮上、「一般常識」も6.6ポイント上昇した。
2011年卒の採用活動において、既卒者の応募を受け付ける予定がある企業は、「従来から受け付けている」と「今回、受け付ける予定がある」を加えると、合わせて39.3%であった。そのうち、新卒採用と同様の扱いで受け付けると回答した企業は76.0%であった。
一方、「受け付ける予定がない」と回答した企業は58.8%であり、「新卒者で充足している」が主な理由であった。
毎年経団連で公表している「採用選考に関する企業の倫理憲章」に関連し、新卒採用活動における「学事日程の尊重」への対応策を聞いた設問では、64.2%の企業が学生の申し出により採用選考日程の調整や変更を認めており、また、25%の企業が適正検査・筆記試験等をWEB等での実施に切り替えたと回答している。
2009年10月改定の倫理憲章では、新たに「広報活動であることの明示」の項目を設け、企業情報の発信を目的とした会社説明会などの広報活動を実施する際には、その後の選考に影響しないものであることを明示するよう努めることとしている。この追加記述について「学生が学事日程を優先の上、参加・不参加を判断できる」といった評価など、賛同した企業が83.8%あった。また、2010年卒採用において「広報活動であることの明示」を実施した企業は50.6%、2011年卒採用において実施している企業は60.2%であった。
(PDF形式)