平成21年11月25日

中央社会保険医療協議会
会長 遠藤 久夫 殿

中央社会保険医療協議会
1号側(支払側)委員
小林 剛
白川修二
中島圭子
勝村久司
北村光一
高橋健二
伊藤文郎

平成22年度診療報酬改定に関する1号側(支払側)の基本的考え方

○ わが国は近年、急速な人口の高齢化、疾病構造の変化、医療ニーズの高度化等により、医療費は増高傾向にあり、国民皆保険体制の維持と医療保険制度の安定的な運営の確保が極めて重要な課題となっている。社会経済情勢をみると、景気や雇用情勢の未曾有の悪化により失業率は過去最悪の水準で推移し、賃金、物価も低下するなど、国民生活は非常に厳しい状況にある。こうした状況は保険料収入の減少をもたらし、また、高齢者医療制度の支援金・納付金の過重な負担と相まって、保険運営の財政基盤にも深刻な打撃を及ぼしている。

○ このような社会経済情勢や国民負担、さらにはいまだかつてない厳しい状況にある保険者財政等を踏まえれば、平成22年度診療報酬改定においては、保険料引き上げに直結するような診療報酬の引上げを行う環境にはないと言わざるを得ない。医療保険制度、ひいては国民皆保険制度を安定的に堅持していくという視点で捉えれば、さらなる患者負担や保険料負担は極めて厳しく、財源確保、負担の在り方なども含め、国民に理解、納得が得られるような対応が求められる。

○ 他方、病院勤務医や看護師などが置かれている状況や医療提供体制の地域間・診療科間の偏在など、医療現場の厳しい実態に鑑みると、必要度の高い医療に対しては大胆かつ重点的な評価を行う一方、限られた財源を効率的かつ効果的に配分するよう見直していくことが不可欠である。

○ 具体的には、産科・小児科・救急等急性期を中心とした医療には、制度・予算上の措置との役割分担を明確にした上で診療報酬上においても財源を重点的に配分し、勤務医等の負担軽減に確実に繋がる評価を行うほか、在宅医療の充実等、地域における医療連携体制の強化等を評価すべきである。また、患者の視点に立って、医療の効率化を推進していくとともに、再診料の統一を含めた病院・診療所の格差是正、包括払いの推進、後発医薬品のさらなる使用促進等を図るべきである。このほか、イノベーションの評価も考慮した薬価及び医療材料の価格の適正化等も図っていく必要がある。

○ さらに、改定に当たっては、診療報酬改定結果検証部会や調査専門組織の報告書、医療経済実態調査等の結果を考慮に入れるとともに、患者の視点、納得性の観点から、診療報酬体系の簡素・合理化、医療保険実務のIT化等も推進すべきである。なお、個別項目については、今後の審議の進捗状況も踏まえ、改めて意見を提示することとしたい。


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