「ITS無線システムの高度化に関する研究会」報告書(案)に関する意見

2009年5月22日
(社)日本経済団体連合会
情報通信委員会 情報化部会
IT新改革戦略推進ワーキング・グループ

「ITS無線システムの高度化に関する研究会」報告書(案)に対する意見募集に関し、以下の通り、コメントいたします。

  1. 2006年に策定されたIT新改革戦略では、世界一安全な道路交通社会の実現を目指し、安全運転支援システムを実用化し、交通事故死者数5,000人以下を達成目標に掲げ、関係省庁やITS−Japan、経団連で構成されているITS推進協議会等において、官民が一体となり検討が進められている。
    高度道路交通システム(ITS)は、カーナビゲーションシステム、ETC等、すでに、多くの国民がその利便性を実感しつつある。しかし、交通事故による社会的損失は約6.7兆円(年間)、渋滞による時間損失は約10兆円(年間)に相当するとの試算もあり、安全・安心な道路交通社会の実現に向けた改善の余地は未だ大きく、一層の取組みが必要である。特に高齢者や歩行者の事故削減や、低炭素社会の実現に向けて、次世代ITSを積極的に活用すべきである。
    しかし、実現に向けた検討を進める上で実施されている実証実験では、道路交通分野に限らず、様々な分野で実証実験が「実験」に終わり、実現に至らない、あるいは十分に普及していないケースも見受けられる。その原因として、制度等の見直しを視野に入れた実験になっていないこと、実験のための予算を確保できても実現のための予算が確保されていないことなどが挙げられる。
    ITSの高度化の推進においても、実用化や普及を念頭に、実証実験が実験だけで終わることがないよう、制度や予算面で必要な措置を総合的に講じるべきである。

  2. 当該報告書案では、2012年7月より利用可能となる700MHz帯を用いて安全運転支援無線システムの実用化の検討を優先して進める事が示されている。
    電波帯域は国の貴重な資源であり、国民の安全・安心の確保や利便性・豊かさを実感できる生活の実現に向けて有効に活用しなければならない。そのためには、アナログ放送用電波の停波後の電波帯域を利用したITSの更なる高度化や多様化、移動体向けマルチメディア放送等について、電波跡地の使用に係る技術基準や免許に関する検討を速やかに開始し、デジタル化を計画通りに完了した後、すぐに利用開始できるための制度面での環境を整備しておく必要がある。

以上

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