2007年8月8日 (社)日本経済団体連合会 経済法規委員会 企業会計部会 |
経済活動のグローバル化に伴い、市場のインフラである会計基準の国際的な収斂(コンバージェンス)が急速に進んでいる。国際会計基準(IFRS)を統一基準とするEUでは、2009年から外国企業に対してもIFRSかこれと同等以上の会計基準の適用を義務付け、現在、日本基準をはじめとする主要国の会計基準の同等性の評価を進めている。また、米国では、証券取引委員会(SEC)がEUとの連携を深め、外国企業の米国上場に際して、2009年度を目途にIFRSを無条件に容認するという画期的な規則改訂案を公表した。
このような国際的な流れに遅れをとるならば、わが国企業の海外での資金調達に支障を及ぼすのみならず、日本基準が世界から孤立し、わが国証券市場の信頼低下にもつながりかねない。
わが国も、以下の通り、関係者の連携を深めつつ、国際会計基準、米国基準とのコンバージェンス作業を加速する必要がある。
当面、EUにより2008年に最終評価が行われる会計基準の同等性の評価への着実な対応を図る。先般EUによる第一次評価が行われたが、引き続き、企業会計基準委員会(ASBJ)が示すプロジェクト計画表に基づく作業を急ぐ。これにより、日本基準とIFRSとの主要な差異は解消されるものと確信する。
米国とEUの連携強化と歩調を合わせるよう、同等性評価の対象以外の重要な項目があれば、一定の期限を示した上で、国際会計基準審議会(IASB)とASBJの間でコンバージェンス作業を行う。
FASBとIASBが進めている長期的なコンバージェンス作業にわが国も参加し、意見反映に努めるとともに、継続的に国内基準との調整を図る。日本経団連としても、日本の財務諸表作成者の意見を取りまとめ、積極的な発信を行う。
2008年にEUにおいて日本基準がIFRSと同等と評価された場合には、日本企業の日本基準でのEU上場とEU企業の国際会計基準での日本上場について、政府レベルで相互に正式承認すべきである。