2004年8月20日 (社)日本経済団体連合会 情報通信委員会 通信・放送政策部会 |
接続料のあり方が電気通信市場における競争政策を推進する上で重要になる中、情報通信審議会電気通信事業部会が答申案「平成17年度以降の接続料算定の在り方について」を公表し、広く意見を求めたことは、時宣を得ている。答申案に関する当部会としての意見は、下記の通りである。
総務省
「平成17年度以降の接続料算定の在り方について」に関する意見の募集
http://www.soumu.go.jp/s-news/2004/040727_5.html
今回の答申案では、接続料に関するより詳細なコスト要素の吟味を行うとともに、第二部において基本料、施設設置負担金もあわせて論じていることは評価できる。結論として、これまでの枠組みを維持するという前提で、当面の接続料の増加を抑制していくといく方向は妥当である。
一方で、基本料金や施設設置負担金については、NTTの経営判断に委ねるとして、結論を先送りしているなど問題点もある。今回の答申は、今後3年間の接続料についての適用を目指しているが、その間にもIP電話などの新しいサービスの拡大など電気通信市場の競争環境は大きく変化すると予想され、ユニバーサルサービスや基本料のあり方について本格的な検討を始めることを提案したい。
なお、このような検討にあたっては、NTTをはじめとする電気通信事業者、総務省においては、基本料やユニバーサルサービス等の費用構造等に関する情報を開示し、説明責任を果たすと共に、関係者が十分に議論できる体制を整えることが望まれる。
施設設置負担金は、答申案の指摘の通り、加入者回線設備の新規架設工事の資金調達という存在意義が低下し、高額ゆえに新規加入者増加の妨げとなっている現状に鑑み、その廃止は妥当であると考える。
一方、企業は保有する電話加入権を貸借対照表上の無形固定資産として計上している。施設設置負担金が廃止される場合には、電話加入権の資産価値が認められなくなるが、その税務上の扱いが明らかになっていない。これについては、一時償却を可能とすべき旨、明記すべきである。