税法で民間に7年間の保存が義務づけられている帳簿書類については、いわゆる電子帳簿保存法により電子保存が認められている。ただし、それは自己が一貫して電子計算機を使用して作成する場合であって、契約書など取引の相手方から紙で受け取る書類等については、電子データによる保存は認められていない。その結果、企業においては紙による保存のために多大な費用が発生している。このような現状を受け、日本経団連では、2000年以降毎年の規制改革要望において、税務書類の電子保存範囲の拡大を求めてきたところである。
内閣のIT戦略本部においては、昨年、「e-Japan戦略II」で電子保存が認められていない文書等について電子保存を認める方向性を打ち出し、「e-Japan重点計画-2003」において電子保存の容認の要件やスケジュール等の対応の方向性を2003年度中に明確化することを決定した。また、先般の「e-Japan戦略II加速化パッケージ」においては、「e-文書イニシアティブ」として、電子保存を可能とすべく統一的な法律の制定等を行うことを決定した。
このような中、情報通信委員会では、税務書類の電子保存にあたっての条件と方策について検討してきた。その結果を基に、日本経団連として、税務書類の電子保存範囲の拡大について下記のとおり改めて要望する。
取引の相手方から紙で受け取る契約書などの書類や手書きの帳簿等について、できる限り早期に電子保存を認めるべきである。
その際、真実性、可視性等の確保が必要とされていることに鑑みれば、紙文書を電子データに変換(電子化)するにあたって、以下に示すような一定の条件を設けることが重要と考えられるが、その具体的水準については、企業の保存コストの削減等につながるものとすべきである。
なお、電子化後の保存・管理のあり方については、現行電子帳簿保存法が定める真実性、可視性の要件を基本的に踏襲するのが妥当と考える。
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