[ 日本経団連 ] [ 意見書 ]

企業の社会的責任(CSR)推進にあたっての基本的考え方

2004年2月17日
(社)日本経済団体連合会

1.日本経団連はCSRの推進に積極的に取り組む

近年、経済のグローバル化、情報化、消費者意識の変化等に伴い、企業の社会的責任(CSR)をより広い視野から捉えなおすことが重要であるとの認識が高まり、国際的にCSRのあり方が議論されている。CSRの具体的な内容については国、地域によって考えが異なり、国際的な定義はないが、一般的には、企業活動において経済、環境、社会の側面を総合的に捉え、競争力の源泉とし、企業価値の向上につなげることとされている。日本経団連は、かねてより企業の社会的責任を重要な課題と位置付け積極的に推進してきたが、このような新たな意味合いのCSRについても積極的に取り組む。

2.CSRは官主導ではなく、民間の自主的取り組みによって進められるべきである

昨年12月の(社)海外事業活動関連協議会(CBCC)対話ミッションの調査によれば、欧米の産業界は「CSRには積極的に取り組むが、ISOによる規格化には反対」との立場をとっている。企業の取り組みとしては、コーポレートガバナンス、企業倫理・コンプライアンスをベースに、ネガティブ・インパクトの防止だけでなく、社会の持続的な発展に貢献することを掲げている。しかも、各社が独自の企業戦略・ブランド戦略に基づき、優先分野を決め、集中的にその分野に取り組む「戦略的集中」によって、各社の個性を出している。
本来、社会的責任に配慮した経営や、その情報発信、コミュニケーション手法等は、企業の自主性、主体性が最大限に発揮される分野であり、民間の自主的かつ多様な取り組みによって進められるべきものである。また、官主導の取り組みは、簡素で効率的な政府づくりにも反する。よって、CSRの規格化や法制化に反対する。

3.企業行動憲章および実行の手引きを見直し、CSR指針とする

経団連は1991年に会員企業の申し合わせとして企業行動憲章を制定した。その後も、96年には憲章改定に併せて実行の手引きを作成し、2002年の再改定の際には社内体制整備と運用強化に関する7項目を要請するなど、企業に対してトップのイニシアチブによる取り組みを働きかけてきた。昨年、対応状況を調査したところ、自社の憲章や行動規範の制定、企業倫理委員会設置等の体制整備、教育・研修の実施など、回答企業の大部分で実施されており、この枠組みは広く浸透しているといえよう。さらに、引き続き企業に継続的な取り組みを促すため、毎年10月を企業倫理月間と定め、企業行動の総点検や研修などを集中的に実施するよう要請している。
企業行動憲章の10ヶ条は、消費者・ユーザー、市場、株主、環境、社会貢献、従業員、海外など、CSRで求められるステークホルダーとの関係を網羅しており、実質的なCSR憲章である。今回、憲章および手引きをサプライチェーン・マネジメントや説明責任など、CSRの視点から見直すとともに、これを世界に発信していきたい。
なお、社会的責任は営利企業に限定されないことから、行政、NGОなど、あらゆる部門が自らの問題として受けとめ、取り組むことが期待される。

以上

「企業の社会的責任(CSR)への対応について」【背景説明資料】


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