[ 経団連 ] [ 意見書 ]

企業献金に関する考え方

1993年9月2日
経団連 会長・副会長会議

  1. 民主政治は、国民全ての参加によって成り立つものである。それにかかる必要最小限の費用は、民主主義維持のコストとして、広く国民が負担すべきである。従って、政治資金は、公的助成と個人献金で賄うことが最も望ましい。

  2. これまでのところ、わが国では、公的助成が未発達であり、他方、個人が政治資金として自発的に浄財を寄附する風土も十分に育っていなかった。このような状況の中で、企業は、政党や政治家に対して資金の一部を拠出してきたが、経団連では、政治家個人への献金が腐敗を招くこともあったため、透明度の高いクリーンな資金の斡旋を、自民党を中心に行ってきた。このことは、自由主義経済体制の維持、議会制民主主義の発展にあたって、重要な役割を果たしてきたと考えている。

  3. しかし、昨今の国民的な政治改革気運の盛り上がりの中で、国民の間で、企業献金への依存度を引き下げるべきとの意見が高まり、政界においてもそのための環境整備が図られつつある。

  4. 経団連としては、こうした動きを歓迎し、企業献金に依存しない仕組み作りに積極的に協力していくべきであると考え、以下の見解を明らかにすることとしたい。

    (1) 今後は、政治資金を公的助成と個人献金で賄い、企業献金に過度に依存しない仕組みを確立していく必要があり、政府は、そのための環境整備を早急に行うべきである。
    (2) 企業献金については、公的助成や個人献金の定着を促進しつつ、一定期間の後、廃止を含めて見直すべきである。
    (3) その間は、各企業・団体が、独自の判断で献金を行うこととし、経団連は、来年以降、その斡旋は行わない。
    なお、1993年分については、既定方針に従い処理する。
    (4) 新しい時代における議会制民主主義のあり方、その中での経営者、企業人の役割について検討を深めるため、特別委員会を設置する。
以上

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