2003年11月21日 (社)日本経済団体連合会 |
日本経団連は、「2010年度に産業部門およびエネルギー転換部門からのCO2排出量を1990年度レベル以下に抑制するよう努力する」という目標を掲げ、各業種、企業とも、この達成に向けて努力している。
2003年度フォローアップには、昨年の34業種に、新たに1業種(日本石灰協会)が加わり、合計35業種#1が参加した。
35業種からのCO2排出量は、1990年度で5億795万t-CO2#2であり、これは、1990年度のわが国全体のCO2排出量11億2,210万t-CO2の約45.3%に相当する。また、これら35業種の排出量は、わが国の産業部門およびエネルギー転換部門全体の排出量(90年度6億1,527万t-CO2#3)の約82.6%を占めている。
2003年度フォローアップの結果、2002年度のCO2の排出量は4億9,851万t-CO2となり、2001年度比で1.8%増加、1990年度比で1.9%減少した。
年度 | 1990 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 | 2001 | 2002 | 2010 目標 | 2010 BAU#5 |
CO2排出量 (t-CO2) |
5億 795万 | 5億2,423万 | 4億9,668万 | 5億 693万 | 5億 332万 | 4億8,964万 | 4億9,851万 | 1990年度 レベル以下 | 5億3,795万 |
90年度比 | 3.2%増 | 2.2%減 | 0.2%減 | 0.9%減 | 3.6%減 | 1.9%減 | 5.9%増 |
今回、積み上げに参加した産業およびエネルギー転換部門35業種のうち、CO2排出量が90年度比で減少した業種は20業種、2001年度比で減少した業種は14業種であった。
CO2排出量の削減を目標として示した11業種のうち、90年度比で減少した業種は7業種、2001年度比で減少した業種は5業種であった#6(別紙1-1参照)。
エネルギー使用量の削減を目標として示した5業種のうち、5業種全てが90年度比で減少し、2001年度比でも4業種において減少している#6(別紙1-2)。
CO2排出原単位あるいはエネルギー原単位の向上を目標として示した20業種のうち、90年度比で原単位が改善した業種は15業種、うち2001年度比でも改善した業種は6業種であった(別紙1-3)。
民生業務・運輸部門について、本年は23業種・企業#7が環境自主行動計画に参加し、それぞれ自主行動計画を策定し温暖化対策に取り組んでいる(別紙2)。
2002年度のCO2排出量は90年度比1.9%減少している。また、1997年度〜2002年度の6年間平均のCO2排出量は、5億322万t-CO2で、90年度比0.9%減少した。
2002年度のCO2排出量が1990年度より比較して1.9%減少した要因を分析すると下記のとおりであり、参加業種の生産活動量が増加した以上に、各業種・企業のCO2排出削減対策が効果を挙げていることが分かる。
一方、2001年度より増加した要因の分析からは、各業種・企業の削減対策以上に、景気回復にともなう参加業種の生産活動の増加による影響があること、また原子力発電所の一部停止に伴うCO2排出係数の悪化の影響が見られる。
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※ | 燃料については発熱量あたりのCO2排出量、 電力については電力量あたりのCO2排出量 |
2002年度は2001年度と比べ、景気の緩やかな回復に伴う生産量の増加にも拘らず、参加業種の取り組みにより90年度比で1.9%の減少とすることができた。1990年度以降、CO2排出原単位やエネルギー原単位の向上あるいは炭素含有量の少ないエネルギーへのシフトは着実に進んでおり、産業界の自主的取り組みは十分成果をあげている。
日本経団連としては、今後とも参加業種に対して、個々の目標達成に向けた対策の着実な実施を求めるとともに、「2010年度に産業部門およびエネルギー転換部門からのCO2排出量を1990年度レベル以下に抑制するよう努力する」という全体としての統一目標の達成に向けて努力していく。
同時に、フォローアップの透明性・信頼性の向上を図りつつ、中長期にわたり自主行動計画の枠組の中で産業界の取り組みを続けるため、2002年7月、環境自主行動計画第三者評価委員会を設置した(別紙3)。同委員会は、2002年度フォローアップのデータ収集・集計・公表方法等について評価を行い、2003年3月に報告書を取りまとめた。本年度のフォローアップでは、フォローアップ対象範囲(バウンダリー)の調整や排出量増減の分析等、同委員会の指摘を踏まえて実施したところであり、今後ともフォローアップの内容改善を継続的に図っていく。
また、産業界としては、産業部門からのCO2排出抑制のみならず、長期的な温暖化対策の鍵である技術開発や、物流の効率化、業務用ビルのエネルギー効率の向上等を通じて、民生・運輸部門の排出抑制にも引続き貢献していく。
産業部門およびエネルギー転換部門の35業種は以下の通り(50音順):
板硝子協会、住宅生産団体連合会、情報通信ネットワーク産業協会・電子情報技術産業協会・日本電機工業会・ビジネス機械・情報システム産業協会、精糖工業会、製粉協会、石炭エネルギーセンター、石油連盟、石灰石鉱業協会、セメント協会、全国清涼飲料工業会、電気事業連合会、日本アルミニウム協会、日本衛生設備機器工業会、日本化学工業協会、日本ガス協会、日本建設業団体連合会・日本土木工業協会・建築業協会、日本鉱業協会、日本工作機械工業会、日本ゴム工業会、日本産業機械工業会、日本産業車両協会、日本自動車工業会、日本自動車車体工業会、日本自動車部品工業会、日本伸銅協会、日本製紙連合会、日本製薬団体連合会・日本製薬工業協会、日本石灰協会、日本造船工業会・日本中小型造船工業会、日本鉄鋼連盟、日本鉄道車両工業会、日本電線工業会、日本乳業協会、日本ベアリング工業会、ビール酒造組合。
産業界全体の排出量の算出にあたっての電力原単位は、下記の電事連出所データ(全電源平均、発電端)を利用している。また、個別業種(個別業種版に掲載)が使用している電力原単位についても特に説明のない限り、下記のデータを利用している。
(t-CO2/万kWh) | ||||||||||||||||||
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環境省発表のわが国のCO2排出量の内、エネルギー転換部門、産業部門、工業プロセスの合計である。
CO2排出量の実績値や見通しについては、数字の精度を高めるために毎年見直しを行なっていることから、昨年の結果と比較して、増減が生じている。
BAU(Business as usual):
2003年度時点での自主行動計画を2003年度以降実施しない場合における2010年度のCO2排出量
CO2排出量実績とCO2排出原単位を目標として掲げる日本ガス協会、CO2排出量実績とエネルギー排出原単位を目標として掲げる日本ゴム工業会、またエネルギー使用量とエネルギー原単位を目標として掲げる日本工作機械工業会、日本電線工業会については、それぞれの目標について改善業種数に含めた。
民生業務部門の参加業種(50音順):
全国銀行協会、日本LPガス協会、日本損害保険協会、日本チェーンストア協会、日本百貨店協会、日本ホテル協会、日本貿易会、日本冷蔵倉庫協会、不動産協会ならびにNTTグループ
運輸部門の参加業種(50音順):
全国通運連盟、全日本トラック協会、定期航空協会、日本船主協会、日本内航海運組合総連合会、日本民営鉄道協会ならびにJR貨物、JR九州、JR四国、JR東海、JR西日本、JR東日本、JR北海道