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e-Japan重点計画に関する意見

2003年7月28日
(社)日本経済団体連合会
   情報通信委員会
    情報化部会

先般当部会で取りまとめた「『e-Japan戦略II(案)』に対する意見」*1 および「『電子政府構築計画(案)』に関する意見」*2 を踏まえ、さる7月10日に公表された「e-Japan重点計画-2003(案)」*3 に関し下記のとおりコメントする。
なお、複数の府省が係る横断的な施策については、関係各府省の責任を明確にしつつ、IT戦略本部の主導により総合的・一体的に推進されたい。

*1 http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2003/058.html
*2 http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2003/068.html
*3 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/pc/comment_j.html


I.「II-7 行政サービス」(38〜44頁) および「III-4 行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推進」(77〜93頁の行政の情報化関連部分)

1.電子政府の構築については、先般、「『電子政府構築計画(案)』に関する意見」で述べたとおりであるが、同構築計画の決定を踏まえ、重点計画最終案の策定にあたり、改めて以下の諸点を要望する。

(1) 申請・届出等手続の簡素化・合理化の徹底、「業務・システム最適化計画」の策定など、業務改革に係る各種施策の実施時期をできる限り前倒しされたい。
この点については、「『電子政府構築計画(案)』に対する意見及びそれらに対する考え方」〔2003年7月17日各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議第4回会合資料〕において「状況に応じ、計画事項の前倒し等を行っていきたいと考えている」、また、「電子政府構築計画」〔2003年7月17日CIO連絡会議決定〕においては、取り組みに遅れが生じないよう、毎年度、「予算編成日程等を勘案して計画を見直す」と、それぞれ明記されているところであり、重点計画最終案の策定および重点計画の見直しに際しても、この点に配慮されたい。
(2) 代理申請に加えて、属性認証についても統一的な方策を検討されたい。
「電子政府構築計画」においては、「電子申請システムについては、代理人が手続を行う場合にも対応できるよう、できる限り早期に所要の措置を講ずる」とされているところであるが、属性認証についても統一的な方策が示されれば、企業の公印管理部門の負担軽減に資すると考えられる。その上で、地方公共団体との間の申請手続についても、国と同様の措置が講じられるよう、対応されたい。
(3) オンライン申請を利用する場合に手数料、税額等を割引くなどの措置を講じられたい。
この点について「『電子政府構築計画(案)』に対する意見及びそれらに対する考え方」では、「IT化にあたっては業務効率の向上を図り、財政支出を抑制しつつ、サービスの向上を目指すこととしており、オンライン利用の手数料についても実費を適切に反映した額とするよう取り組んでいく所存である」とされているが、そのような対応に加えて、諸外国の事例も参考にインセンティブ措置を導入されたい。

2.「電子政府構築計画」において2003年8月までに設置することが謳われている「電子政府・電子自治体推進のための国、都道府県、市町村協議会(仮称)」について、協議の節目節目でIT戦略本部に対して進捗状況を報告されたい。
電子自治体の構築については、情報セキュリティ対策を含めて国と一体的な取り組みが不可欠である。この点、重点計画において、「地方公共団体等の関係機関についても、国と同様の取り組みを推進するために必要な情報提供、助言等を行うなど、連携協力を積極的に推進する」(39頁)、「すべての地方公共団体においてITを活用した質の高い住民サービスの提供が図られるよう環境整備等を行う必要がある」(78頁)としていることは適切であり、これらを実現する上で上記協議会は重要な役割を担うものと考えられる。
なお、「『電子政府構築計画(案)』に対する意見及びそれらに対する考え方」においては、「IT戦略本部への進ちょく状況の報告については、今後、協議会の設置、本計画の進ちょく状況の評価、見直し等各段階において検討してまいりたい」とされているところである。

II.「III-4 行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推進」〔77〜93頁の公共分野-高度道路交通システム(ITS)関連部分〕

ITSについては、先般「『e-Japan戦略II(案)』に対する意見」で述べたとおりであるが、改めて以下の諸点を要望する。
なお、これらについては、「『e-Japan戦略II』(案)に対する意見及びそれらについての考え方」〔2003年7月2日IT戦略本部(第19回)資料〕では、「e-Japan重点計画-2003(案)において、ITSに係る諸施策を検討することとしている」とされているところである。

(1) ITSスマートタウン(愛知県)を早期に全国展開すべく、具体的な方策を2003年度中に提示されたい。
(2) 交通事故多発箇所および当該箇所での事故データを開示するとともに、交通事故死者ゼロ空間地区を選定し、要素技術に関する産官学の研究開発の成果を集中的・体系的に投入されたい。
(3) 2004年に開催されるITS世界会議に向け、「e-Japan重点計画-2002」に基づき提示されたITSの基本的内容(ITSスマートタウンショーケース)を具体化するための施策を展開されたい。
(4) 96年に策定された「ITS推進に関する全体構想」を見直し、ITSの利活用および本格的な普及を目指して新全体構想を策定されたい。

III.「III-5 高度情報通信ネットワークの安全性及び信頼性の確保」(94〜106頁)

先般「『e-Japan戦略II(案)』に対する意見」で述べたとおりであるが、改めて以下の諸点を要望する。

(1) 国・地方公共団体共通の情報セキュリティポリシーを策定されたい。
この点については、「『e-Japan戦略II』(案)に対する意見及びそれらについての考え方」において、「指摘を踏まえ、各省庁及び各自治体の情報システムにおいて共通となるガイドラインについて、検討してまいりたい」とされているところである。
(2) 国の行政機関は、その保有する個人情報を適正に取扱うための基本方針(プライバシーポリシー)を策定・公表する、また、コンプライアンスプログラムを策定するなど、国民の信頼に足る、また、他の組織の範となる個人情報保護のための実効的な体制を整備されたい。また、地方公共団体に対しても、同様の体制整備を要請されたい。
この点については、「『e-Japan戦略II』(案)に対する意見及びそれらについての考え方」において、「『個人情報の保護に関する法律』に基づき、政府は、関係施策の総合的かつ一体的な推進を図るための基本方針を作成し、これに基づいて各種施策を推進していく予定」とされている。

IV.「IV-2 ITを軸とした新たな国際関係の展開」(119〜123頁)

先般「『e-Japan戦略II(案)』に対する意見」で述べたとおりであるが、WTO新ラウンドにおいて、オンラインで行われるデジタルコンテンツの取引に対する関税不賦課の恒久化、ITA(Information Technology Agreement)への参加国および対象品目の拡大、IT・電子商取引関連分野の全面的な自由化、を主張していく必要がある。
この点については、「『e-Japan戦略II』(案)に対する意見及びそれらについての考え方」において、「WTO新ラウンドにおいて主張する政策については、e-Japan重点計画2003の中で検討」とされているところである。

以上

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