合計 | 男性 | 女性 | |
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従業員数 | 20,656名 | 17,369名 | 3,287名 |
平均年齢 | 39.1歳 | 40.1歳 | 33.9歳 |
平均勤続 | 14.4年 | 15.3年 | 9.7年 |
日本アイ・ビー・エムでは、ダイバーシティー(多様性)を経営戦略として掲げている。
この戦略は、多様化するマーケットに対応するには社内の人材も多様化し、様々な特徴をもった人の特質を活かし、お互いが共生することでビジネスに貢献することができる、との信念に基づく。また、労働市場も多様化しており、優秀な人材を確保するためにもダイバーシティーの促進が必要と考えている。以上のような考え方は、1990年代に同社が経営危機を経験した際に確立されたものである。
このダイバーシティーを促進するには、ワーク/ライフ・バランスの観点から、企業風土、フレキシビリティー(労働環境の柔軟性)、ディペンダントケア(育児・介護)の3つの柱を充実させることが重要である。ワーク/ライフ・バランスを考慮する理由としては、単に快適な職場環境を提供するためというより、従業員に能力を最大限かつ継続的に発揮してもらうことが重要と考えているからである。
フレキシビリティーに関しては時間と場所の2つの側面があるが、時間に関してはフレックスタイム制(コアタイム10:00〜16:30)、場所に関してはe-ワーク制度(在宅勤務制度)を導入している。
在宅勤務という働き方は1980年代より存在したが、育児や介護などの理由の有無に関わらず全社展開を開始したのは2001年12月である。在宅勤務については、生産性、モラル、仕事に対する満足度などの観点から、肯定的に評価する従業員が多い一方、チームワーク、コミュニケーション、キャリアの面で否定的な評価もでている。ただし、制度を利用する社員が増加するにつれて、これらの問題は解決される方向にある。
同社の経験としては、育児期で特に在宅勤務の効果があるのは、子供が小学校入学以降である。夏休み中だけ在宅勤務するとか、子どもの帰宅にあわせて1日のうち一部を在宅勤務とするなど、さまざまな使い方がされている。また、乳幼児期から小学校就学前に関しては、保育所やベビーシッターなどの保育サービス充実の方が有効であると考えている。
主要な施策は下記の通りである。
制度名 | 制度の概要 | 運用状況 |
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産前産後休暇 | 産前7週間、産後8週間。有給 | |
配偶者出産休暇 | 3日 | 取得率は高い |
育児休職 | 生後2年まで。無給。社会保険料は会社負担 | 平均取得期間は11ヶ月 |
育児オプショナル制度 | 育児休職期間の延長(2年)に伴い、会社の要請でパートタイムの勤務をさせることができる制度 | 会社からの要請ベースであるので利用者数は少ない |
育児時間 | 1日1時間(満1歳まで)。有給 | |
育児早退 | 保育所の終了時間の関係での21分の早退。有給 | |
看護休暇 | 家族の看護、通院等。年5日。有給 | 取得率高い |
上記のような人事制度としての両立支援策のほかに、次のような間接的な支援策も実施している。
制度名 | 制度の概要・運用状況 |
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ワーク/ライフ・セミナー | 妊娠・出産・育児と仕事の両立のヒントに関するセミナー。男女ともに出席率高い |
キッズサマースクール | 子供の夏休み期間(1週間ごと。最長5週間)に開催する学童保育プログラム。1日の預かり時間は8時〜19時 |
ファミリー・ケア・ネットワーク | 育児・老人介護、家事代行、食事手配などの相談や情報の収集、依頼代行などを一括してWEB上で行なうことのできるシステム |
同社は外資系ということもあり女性の活用は進んでいるが、職種としてはプロフェッショナルが多くキャリア志向の強い社員も多いなかで、仕事と家庭の両立が困難となる状況も生じている。
そのため短時間勤務に関する検討も行なっているが、短時間勤務のエグゼクティブが存在する米国のような風土に一挙に変化することはありえないと考えている。同社では、ワーク/ライフ・バランスの観点から、緊急避難的な一定期間の短時間勤務を試行することを検討している。
また、小学校就学前の子供を持つ従業員のワーク/ライフ・バランスのためには、保育所が必要不可欠であるにもかかわらず、従業員のニーズに合致した保育所が不足していることが問題点と考えている。