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日本経団連
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意見書
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株券不発行制度及び電子公告制度の導入に関する要綱
中間試案に対するコメント
2003年4月28日
(社)日本経済団体連合会
経済法規委員会 企画部会
法務省サイト
「株券不発行制度及び電子公告制度の導入に関する要綱中間試案」に関する意見募集
http://www.moj.go.jp/PUBLIC/MINJI31/pub_minji31.html
「株券不発行制度及び電子公告制度の導入に関する要綱中間試案」
http://www.moj.go.jp/PUBLIC/MINJI31/refer01.html
第1編 株券不発行制度
第1 商法の改正関係
1 株券不発行の定め等
(1) 株券不発行についての定め
乙案に賛成する。
〔理由〕
2002年11月20日付
「株券不発行制度に関する基本的な検討事項に関するコメント」
(日本経団連経済法規委員会企画部会)で述べたとおりである。
( 乙案の(注)全体について )
〔意見〕
株券不発行制度への移行に際しては、移行時の略式質権者の権利保護に十分な配慮を行うとともに、質権者・質権設定者にとって負担の少ないものとしていただきたい。
( 乙案の(注)(ii)について )
〔意見〕
多数の担保株を預かっている会社にとって、全ての株式について、基準日前に株主から株券預託の協力を取り付けることは実務上困難である。まして、最短1カ月の公告期間内で対応することは実務上不可能である。したがって、十分な準備期間をとり、簡便かつ一律的な移行制度の構築を希望する。
官民一体となって周知をすることで、株券不発行制度移行時の株主宛の通知・公告については不要としていただきたい。
第2 株式の振替制度関係
3 新規記載手続等
( (4)について )
〔意見〕
特別口座管理機関は、一斉移行完了後も新株発行等に応じて利用できるものとし、恒常的制度とすべきである。
6 振替機関等の消却義務
((注2)について )
過大記帳した振替機関等の消却義務不履行に備えて、加入者保護信託制度を整備することに賛成する。
〔理由〕
消却義務を負う振替機関等が倒産した場合等、消却義務不履行に伴う損害が、加入者に及ばないようにする必要がある。
8 消却義務の不履行の場合における株主の議決権等
( (1)について )
〔意見〕
1単元1議決権の例外として、議決権を縮減するという考え方は株主および発行体の立場からは疑問がある。ただし、やむを得ず認める場合には、実務上混乱が起きないように配慮する必要がある。
( (注)について )
振替制度利用会社が消却義務を負う振替機関等に対して簡易な手続で自己株式を譲渡できる仕組みを構築することに賛成する。
その際、自己株式を公正な価額で当該振替機関に譲渡する場合には、商法第211条の自己株式処分に関する一般規制に服さないものとすべきである。
〔理由〕
消却義務を負う振替機関等が振替株式を市場から取得することが困難な場合がありうるが、株主の議決権が制限されるような場合は極力なくすべきである。ただし、振替制度利用会社に過度の負担を負わせるような規定とすべきではない。
9 一斉株主通知
( (1)ただし書きについて )
〔意見〕
新振替制度導入後も、現状の略式質の利点を損わないような仕組みの構築を希望する。
11 単独株主権・少数株主権の行使方法等
A案に賛成する。
〔理由〕
振替制度利用会社に振替口座簿閲覧権を認めている点、株式の継続保有要件等の確認を実際の所有に合わせて正確に行える点から、A案の方が優れていると考える。
12 その他
〔意見〕
現行、海外投資家への株式譲渡は、株券の受渡しによることが一般的である。したがって、株券不発行制度のもとでの株式譲渡手段について、具体的な取扱いを定める必要がある。
また、海外の証券取引所にて上場する場合には、預託証券を発行することになる。この場合に、預託機関発行の預託証券として保有する株主と口座管理機関経由で保有する株主の間で権利関係が異なることはないか確認したい。
現行、航空会社・放送会社・通信会社等について、外国人持株比率に制限のある会社については、株主たる外国人は、権利確定日前に株券の返還を受け、持株比率制限を超える場合は名義書換を拒否する取扱いとなっている。政府においては、株券不発行制度のもとでも、外国人持株比率制度を担保する仕組みを考えているという理解でよいか。
商法226条の新株の払込期日後に株券を発行する旨の規定、商法280条ノ9の払込期日の翌日に株主となる旨の規定をDVPの実現に相応しいものに改正していただきたい。
第3 新株引受権,新株予約権及び新株予約権付社債の振替制度
1 商法の不発行制度との関係等
新株予約権付社債について、社債の発行決議で不発行とすることができることに賛成する。
〔理由〕
社債発行経費の削減が期待できるため。
第2編 電子公告制度
第1 株式会社についての電子公告制度の導入
〔意見〕
1の電子公告制度を導入することに賛成する。
3の公告の効力に影響を及ぼさない期間については、2(3)の場合には公告が要求されている期間に応じて比例的に延長すべきである。例えば3カ月の公告が要求されているものであればその3倍(合計72時間)とするような措置を講じるべきである。
5の公告ホームページのアドレスはミラーサイトの設定などを考慮し、複数のアドレスを設けることができるようにすべきである。
また、ミラーサイトがある場合は、いずれかのサイトに掲載されている場合は、掲載は中断していないものとすべきである。
公告の電子化は、そもそもコスト削減が目的であり、証明機関への依頼に関するコストが新聞公告等に要する費用に対して競争力を有することが求められる。6(注)の証明機関のあり方については、機関の公正性の担保に加えて、価格競争力という観点から要件等を設定するべきである。
第2 貸借対照表等の公開の方法の見直し
原案を支持する。証明機関による証明、また掲載が中断された場合の効力要件は設けないものとすべきである。
〔理由〕
簡易な制度を設定しておくことにより、開示の充実を図る企業を増やしていくべきである。
第3 株式会社の各種債権者保護手続における個別催告の省略等
I案を支持する。
〔理由〕
第2編の(前注)にあるように、官報には紙ベースの官報、電子官報の2つの媒体が用意され、官報公告の周知性が高まるため、官報公告のみを行えば足りることとしてよい。
III案の電子メールの利用については、手続が複雑になるおそれがあり、反対する。
以上
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