2003年1月31日 (社)日本経済団体連合会 経済法規委員会企画部会 |
今回のアクション・プラン(仮称)の取り纏めの方向については「ADRが、国民にとって裁判と並ぶ魅力的な選択肢となるよう、その拡充、活性化を図る」という司法制度改革審議会の意見書の趣旨に沿ったものであり、賛成する。なお、アクション・プランの取り纏めにあたっては、下記事項について、特段の配慮を願いたい。
ADR:Alternative Dispute Resolution(裁判外論争解決)
ADR機関等へのアクセスの向上のためには、アクセスポイントたるポータルサイトや窓口の整備が重要であり、海外ADR機関も含む総合的な情報提供機能をもったものを是非設置して欲しい。また、整備にあたっては、民間の自発的性に任せるだけでなく、行政が率先して取組むべきであり、検討が進んでいる独立行政法人リーガル・サービスセンター(仮称)の積極的な取組みを期待する。なお、その際に以下の諸点に配慮すべきである。
ADRの担い手の確保・育成はADR機能の実効性に最も関わる事項である。特に、ADR機関の整備・拡充により、深刻な事例から単なる相談まで持ち込まれることが予想され、これらに適切に対応するためにも、人材の質量の拡充が必要である。
企業関係者を含め、民間での経験を生かせる人材を幅広く活用し、実質的かつ妥当な対処方策を提供できるようにする。公的な資格の付与も併せて検討されるべきである。
また、ADR機関が一般国民にとって身近な機関として機能するためには、ユーザー(相談者)に対する親身な応対を行うことが必要であり、ADR機関主宰者の専門性、応対、モラルについての教育も必要である。
ADRは、簡易・廉価・迅速という裁判の代替的機能という実利的な面だけでなく、国民の司法参加や私的自治といった大局的な観点からも極めて重要である。こうしたADR制度の意義について、国民間の認知と普及が大切であり、司法当局のみならず行政によるADRに関する広報や教育の督励を願いたい。その際には、講演会、シンポジウムや模擬ADRの実施などを検討して欲しい。
関係機関が連携して、新しいADRについての研究、試行、実践を行う。例えば、ミニ・トライアルやサイバーADRなど、諸外国で取り入れられているADRの新しい手法について研究し、有用な手法は、活用の途を開く。