2003年1月27日 (社)日本経済団体連合会 経済法規委員会 消費者法部会 |
中間報告が示している「日本の経済社会システムが市場メカニズムを重視した仕組みに変化し、その分野が拡大する中で、消費者は、単なる保護の対象ではなく、市場において『自立した主体』として、自己責任の下で、積極的に自らの利益を確保するよう行動していくことが求められている」という基本的考え方に賛成する。
これに基づき、「消費者の責務」として、積極的な情報収集と契約内容の理解に努めることを消費者に求める必要がある。
また、政府は、自立した消費者が自らの権利を行使し義務を果たすために、実効性のある消費者教育や啓蒙活動を実施すべきであり、これを「行政の責務」として明記すべきである。
リコール制度の自動車以外の分野への拡大については、自動車のような登録制度が整備されていない等の困難がある。少なくとも、回収率を高めるための方策の検討がまず必要である。
表示ルールや勧誘方法に関する規制は、事業者間の健全な競争を阻害することのない範囲にとどめるべきである。なお、「(2)事業者の情報提供義務」や「(3)<3>消費者の特性に応じた勧誘」を法的に明確化する必要があるとの言及があるが、事業者に無用な負担を課したりすることのないよう、既存法制との関係も含め、慎重に検討すべきである。
また、悪徳業者の速やかな排除と消費者の事後救済策の充実を行うべきである。
行政処分に制裁金を導入する旨の記述があるが、1つの案件で制裁金と行政罰による罰金が2重に課せられることがないように明記すべきである。また、連邦量刑ガイドライン的考え方の導入については、事業者の自主的な法令遵守体制の整備を評価し促進するものとして評価できるが、導入する以前に、違法行為に対する措置体系の在り方全体についてまず議論を尽くす必要がある。
内部告発と内部告発者の保護の意義を否定するものではないが、内部告発は個々人の正義感と責任の下で行うものであり、制度的に奨励すべきものではない。また、内部告発者の身分保障については、現在でも内部告発を理由に労働条件の不利益変更等を行うことが法律的・社会的に許されているとは考えられない。新たな制度を設ける前に、内部告発と既存法制との関係について、まず整理をすべきである。
また、事業者においては、従業者が不利益な取扱いをうけることなく相談・通報でき、事業者が速やかに対応するための「企業倫理ヘルプライン(相談窓口)」の整備・充実が進んでいる。したがって、こうした自主的な対応を促進することが重要であり、新たな制度により、これを阻害することがあってはならない。
なお、仮に公益通報者保護制度を創設する場合は、下記の考え方によるべきである。