2002年12月20日 (社)日本経済団体連合会 経済法規委員会 競争法部会 |
ルールある競争は経済取引の基本であり、事業者同士が公正な取引をなすべきことは当然である。下請法は昭和31年の制定以来、強化される一方であり、日本経済の中で下請事業者の保護に一定の役割を果たしてきたといえる。
ところが、現在は親事業者、下請事業者を問わず、グローバル化、国際競争に晒される中で、下請事業者の定義に含まれる中小企業も多様化しており、小規模事業者でも独自の技術力を身に付けて高い競争力を獲得する事業者も存在することから、下請法の存在意義も見直される時期であると思われる。
このような状況下、下請法を役務取引にまで拡大することは時代の流れに逆行するもので、資本金額という画一的、形式的基準により保護の対象を規定する下請法は廃止し、問題のある事業分野に集中して優越的地位の濫用規制により弾力的に対応することがあるべき方法と考える。
下請法の適用拡大によれば、一部の下請事業者の抱える問題は解消されるかもしれないが、大多数の何ら問題のない取引における当事者双方の管理コストのいたずらな上昇を招き、その一部は最終消費者が負わざるを得ない。これを避けるためには、下請法非適用事業者への発注集約や海外事業者への発注を増加させることとなり、結果として下請事業者の受注機会の減少を引き起こすおそれがあることも見過ごすことはできない。
仮に既存の下請法規制を継続するとしても、書面主義や支払期日の設定方法など報告書で不都合の指摘されている事項について、積極的に改善すべきである。また、サプライチェーン・マネジメントの展開に支障とならないように十分に配慮すべきである。
なお、今回の改正検討は極めて大きな影響を与える事項でありながら、2ヵ月という短期間で審議を終了している。今後とも、立法に向けて広く関係者の意見を聴取すべきである。
- 公正取引委員会
- http://www.jftc.go.jp/
- 企業取引研究会報告書について
−役務の委託取引の公正化を目指して− (PDF)- http://www.jftc.go.jp/pressrelease/02.november/02112702.pdf