空港はわが国の産業を支える重要なインフラであり、今後の空港整備に当たっては、何よりも国際競争力の強化を主眼とした、戦略的な航空政策の立案・実施が求められる。このため、日本経団連としては、今後の空港整備と国際拠点空港の民営化問題について、以下の通り提言する。
国・地方の財政が厳しい状況下、今後の空港整備に当たっては、社会資本整備における従来の公共事業関係費(国費)の硬直的なシェアを見直すことを通じ一般財源の拡充を図るとともに、個々の空港整備事業の優先順位を明確化することにより、これまで以上に重点的かつ効率的な整備に取り組む必要がある。
大都市圏の国際拠点3[email protected]!"4X6u!"CfIt!Kについては、国の基幹的なインフラであり、その整備は焦眉の急である。また、国際競争力の強化という観点からは、アクセスの改善と併せて、国際的に割高な空港利用コストを是正することが極めて重要である。
また、国内最大の拠点空港である羽田空港の再拡張事業は、わが国経済社会全体の活性化、都市機能の強化などを図る上からも、極めて緊要性の高い国家プロジェクトである。現在、羽田の容量制約によってわが国航空ネットワーク全体に生じているボトルネックを解消するためにも、必要な財源を確保し、2009年までの供用開始および国際定期便の就航に向け、可能な限り早期に再拡張事業を完成させる必要がある。
こうした中、「特殊法人等整理合理化計画」(2001年12月19日閣議決定)を受け、国土交通省の交通政策審議会航空分科会で、国際拠点3空港の民営化問題について議論が進められているが、民営化に当たっては、上記1.〜3.の視点に立って、以下のように考える。
航空分科会において、3空港間の立地コスト平準化を狙いとした上下分離方式が議論されてきているが、空港経営の自主性、効率性を確保する観点からは、個別空港ごとの民営化が妥当である。また、3空港の個別民営化に当たり、民営化の方式については、各会社等の判断に委ねるべきである。
国際拠点3空港の民営化の方法としては、現時点で株式価値が最も高くなると想定される[email protected]$r$^$:C1FH$GAa4|$K40A4L11D2=した上で、その売却収入を、空港整備特別会計を通じ、羽田空港の再拡張、そして関西国際空港の整備および関西国際空港株式会社の経営改善に重点的に充当することが妥当である。
次に、関西国際空港の民営化に当たっては、関西国際空港株式会社の経営が極めて厳しい状況に置かれていることから、関係者のさらなる経営改善努力が必要である。特に、1兆円にのぼる有利子債務を圧縮することが最重要課題であり、このため、関空建設に伴うこれまでの経緯を勘案し、国ならびに地元による支援策として、(1)[email protected]$NEjF‾!"(2)固定資産税の期限付き減免などの措置を講じるとともに、(3)連絡橋等現有資産の売却、などを通じた経営改善が必要となろう。但し、こうした経営改善策を講じるに当たっては、関空の需要予測を改めて見直し、関西国際空港株式会社の経営見通し等を勘案した上で、2期事業推進のあり方についてさらに検討することが急務である。加えて、関西3空港(関空、伊丹、神戸)の機能分担については、利用者の利便性も含めた観点から、国が責任を持って、地元をはじめ関係者と協議を行うことが求められる。
さらに、中部については既に商法上の民間株式会社であることから、その経営の自主的判断を尊重するとともに、国の基幹的インフラである事実に鑑み、引き続き国が所要の予算措置を講じていくことが重要である。その際、2005年開港に向け空港会社がこれまで行ってきたコスト削減努力を損なうことのないように留意することが必要である。
最後に、空港インフラが有する公共性・独占性という観点から、着陸料など空港使用料金について、民営化のメリットが利用者に適切に還元されるような仕組みの導入を検討すべきである。