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これまで、産業界が強く要望してきた廃棄物の範囲・定義等については、「中間取りまとめ」が公表されているが、以下の問題点がある。
- (1) 法制度のあり方
- 【中間取りまとめの趣旨】
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廃棄物処理法を基本に考えており、廃棄物処理法の適用対象の拡大によって、資源循環推進や不法投棄の未然防止等に対応する。
- 【問題点】
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廃棄物処理法の規制は、収集運搬、積替保管、処分のそれぞれが許認可事項となっている。これらの許認可手続きに関わる不透明さ、手続きの時間の浪費による不経済性が、リサイクルに携わる者にとって大きな障害となっている。
廃棄物処理法の適用対象の拡大は、リサイクル・資源循環を阻害する。
- (2) 廃棄物の定義
- 【中間取りまとめの趣旨】
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不要物以外のリサイクル可能物も含めて、幅広く廃棄物に含める。
- 【問題点】
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現状において廃棄物処理法の適用を受けていない産業に対し、新たに廃棄物処理法の規制を適用すると、既にリユースの仕組みが構築できているレンズ付フイルムや有価でリサイクルしている自動車排気ガス浄化使用済触媒などからの貴金属の回収・再生利用システムにも様々な不都合が生じる。グローバル化の進むなかで、貴重資源の海外流出の懸念があることも考慮する必要がある。
また、既存の一般的な生産設備であっても、既に多くの使用済み資源を原料・資材としてリサイクルしており、これらの生産設備が廃棄物処理施設になってしまうことが問題である。さらに、資源を回収するためのこうした生産事業においても、すべて廃棄物処理業の認可を得る必要が生じる。
「中間取りまとめ」では、不適正処理を抑制するために廃棄物の定義の見直しが必要としているが、現状において適正にリサイクルされているものまで規制強化する理由は示されていない。
- (3) 土砂(建設発生土)の取扱いについて
- 【中間取りまとめの趣旨】
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現在、産業廃棄物でない「土砂(建設発生土)」を、廃棄物として取り扱うべきとしている。
- 【問題点】
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第一に、重要な建設資材である土砂への規制を厳しくすることにより建設発生土のリサイクルを困難にすること、第二に、最終処分場がひっ迫するなか、土砂を廃棄物として取り扱う場合には最終処分場の確保が不可能でありこのような取扱いには無理があること、第三に、建設発生土が一部で不適正に処分されていることや、土砂と産廃汚泥の識別が曖昧でたびたび混乱を引き起こしているという問題、汚染土壌の場外処分の法的位置付けについて明確な基準がないという問題等がある。
ちなみに、国土交通省の「平成12年度建設副産物実態調査結果」によると、平成12年度の建設発生土発生量は、2.84億m3(約4億トン。全国産廃の排出量と同等)、内再利用量は1.56億m3、内埋立処分等は1.24億m3であり、この発生土がすべて廃棄物になってしまうことになる。
以 上
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