現行の廃棄物処理法にリサイクル促進の観点が欠如しているため、現実の事業活動のなかでも多くの問題がある。その問題点を以下に列記する。
「他人に有償で売却することができるか否か」を基準として、占有者の意思や物の性状等を総合的に勘案して廃棄物か否かを判断するといった、いわゆる「総合判断説」による解釈では、リサイクル目的で取り扱うことが明らかな場合でも無価・逆有償になると廃棄物扱いとなり、自らリサイクルを行なう優良事業者にとって不合理である。廃棄物の定義については、リサイクル目的で取り扱うことが明らかか否かを勘案すべきである。
さらに、環境省は、売却代金から運送費用を差し引くと逆有償になる場合には廃棄物処理法の収集運搬業許可が必要としているが、リサイクル可能な有価物であっても、輸送価格が高騰(あるいは輸送先が遠方、輸送量が少量等)する場合や市況変動により逆有償になる場合がある。同様の性状の物を同様のリサイクル処理をするにもかかわらず、輸送価格の大小によって、廃棄物となる場合とならない場合があることは不合理であり、リサイクル促進の支障となる。
廃棄物処理法上一般廃棄物に区分されていても、地方公共団体での引取りが困難なため、事業者の責任により処理している廃棄物があるが、一般廃棄物としての区分がリサイクル促進の障害となっている場合がある。
たとえば、地方公共団体で引取り・処理が困難である「ダムに漂着する流木」等を、事業者の責任により処理する場合、地方公共団体を跨いだ輸送や他の地方公共団体の処理施設の利用が困難であり、適正な処理やリサイクル促進の障害となっている。
事業者が別法人から委託を受けたリサイクルを行うと業許可を求められるが、煩雑な手続きが求められ、事業者にとって過重な負担となっている。
現行の廃棄物行政においては、「複数の事業場を有する事業者が、各事業場から発生する産業廃棄物を一つの事業場に集めて処分する場合、自己処理に該当」し、「運搬については自ら行なえば収集運搬業の許可は不要」であるが、「親会社が子会社の産業廃棄物を無償で引き取り、自社の産業廃棄物と併せて処理する場合」については、「独立した法人どうしであれば自己処理に該当せず、親会社には処理業の許可が必要」となっている(旧厚生省通知より抜粋)。
このため、日本経済の集中と選択により企業の分社化が進むなか、処理施設をグループで投資して設置・運用することができず、処理の効率性を十分に図ることができなくなっている。
生産施設である工場には、大気汚染防止法や水質汚濁防止法、保安規制等、周辺環境への影響等を考慮した規制が重複的に課されている。
廃棄物を資源として再利用・リサイクルする生産施設や、使用済み製品のリサイクル施設の場合、それらに加え、さらに廃棄物処理施設の許可を取らなければならない。
ある産業で廃棄物となった循環資源を他産業で資源として有効利用する「カスケード利用」を行なう場合にあっても、施設許可等を取らなければならない。