現在わが国は、デフレ及び失業率の上昇という厳しい現実に直面している。しかし、一時的な痛みにひるんで改革を先送りすれば、それだけ民主導の真に活力溢れる経済社会の構築は困難になり、経済の長期的な低迷を招くことになる。今こそ、小泉内閣の「聖域なき構造改革」のもと、政府をあげて早急に大胆な規制改革に取り組み、わが国の高コスト構造を是正するとともに、IT革命、少子高齢化、都市再生等への対応を通じて雇用の創出を促し、日本経済の再生を図ることが不可欠である。
既に政府においては、総合規制改革会議はじめ関係機関において、従来は聖域とされた分野も含め、積極的な規制改革への取り組みがなされていることを評価している。引き続き、よりスピード感をもった集中的な取り組みにより、本年3月末に初回改定が予定されている「規制改革推進3か年計画」の拡充が図られ、各分野における一層の規制改革が実現することを期待している。
そこで経団連では、昨年10月に政府に建議した「2001年度経団連規制改革要望」(全15分野・計395項目)を再点検し、高コスト構造の是正、IT革命、少子高齢化、都市再生等への対応の観点から、特に緊急度・重要度が高いと判断される事項につき、今般再要望を行なうこととした。
総合規制改革会議が昨年12月に策定した「規制改革の推進に関する第1次答申」に盛り込まれている項目については、内容を後退させることなく改定計画に盛り込み、早期に実施すべきである。
また、「第1次答申」に盛り込まれているものの、更なる内容の拡充が求められる項目については、引き続き検討が進められるよう要望する。
総合規制改革会議は、3か年計画の実施状況の監視を行ない、同計画に掲げられた改革事項の推進を図るものとされている。したがって、総合規制改革会議においては、本年3月末の計画改定に向けて、実施状況を厳格に評価し、各省庁に対して、取り組みの不十分な項目の推進を強力に働きかけるべきである。
その際には、既に3か年計画に掲げられているにもかかわらず、昨年12月の第1次答申では取り上げられなかった項目については早急に検討を行ない、措置内容の拡充や前倒し実施を含め、その結果を改定計画に反映させるべきである。
内外から寄せられた規制改革に関する意見・要望をもとに、改定計画では、より多くの新規事項を取り上げるよう要望する。特に、経団連が以前から要望しており、未だに3か年計画、第1次答申のいずれにおいても取り上げられていない項目については、これらの検討を急ぎ、是非とも改定計画に盛り込まれるよう強く要望する。
2001年11月9日に開催された経済財政諮問会議において、規制改革に関する集中審議が行なわれ、その際、議論の俎上に上った数十項目の規制改革項目については、改革工程表のフォローアップとして推進するとされている。そのためにも、総合規制改革会議が中心となって、これら改革項目の具体化に向けた検討に早急に着手すべきであり、それらの結果とともに、3月末迄の極力早期に改めて経済財政諮問会議において、規制改革の集中審議を行なうべきである。
また、IT、郵政三事業、都市再生に関する規制改革項目については、それぞれIT関連規制改革専門調査会、郵政事業の公社化に関する研究会、郵政事業の在り方について考える懇談会、都市再生本部において検討が行なわれている。更には、税制や特殊法人等の改革についても、規制改革と密接に関連する課題があり、これらの関係機関と連携しつつ、政府全体として規制改革の実効があがるよう、総合規制改革会議が積極的な役割を果たすことを期待する。
これら規制改革の推進のため、必要に応じて、関係機関、とりわけ総合規制改革会議の体制強化を検討すべきである。
規制改革のプロセスの透明性を高める観点から、総合規制改革会議が3か年計画の実施状況の監視を行なう際には、その評価も含め、監視結果を公表するものとし、進捗が十分でないものについては、その理由等を明確にさせ付記すべきである。また、各省庁は、経団連をはじめとする内外からの規制改革要望を検討し、その結果を公表するとともに、現行の制度・運用を維持する必要があるとする場合には、その根拠等を明確にし、ホームページ等へ掲載すべきである。
早急かつ抜本的な規制改革の実現には、政治の強力なリーダーシップが不可欠であり、引続き、小泉総理、石原大臣をはじめとする改革断行内閣の強力なリーダーシップに期待する。経済界としても、自主・自律・自己責任に基づいて行動することを徹底し、今後も規制改革の断行に向けて、総合規制改革会議はじめ政府の取り組みを全面的に支援していきたい。
(PDFファイル,57ページ,170KB)