2002年1月15日 (社)経済団体連合会 情報通信委員会 通信・放送政策部会 情報通信ワーキング・グループ |
経団連では、2000年3月、「IT革命推進に向けた情報通信法制の再構築に関する第一次提言」をとりまとめ、「事業(者)規制法」ともいうべき現行法を利用者本位の「競争促進法」の体系へと早急に転換するよう求めた。さらに、昨年12月には、第二次提言として、「IT分野の競争政策と『新通信法(競争促進法)』の骨子」をとりまとめ、現行制度を手直しするというアプローチではなく、競争促進的な制度を新たに構築するとした場合の基本的な要素を「新通信法」の骨子として提示したところである。昨年12月11日に公表されたIT競争政策特別部会第二次答申草案が論じている電気通信事業における競争政策のあり方に関する経団連の考え方については、同提言を参照されたい。
具体的に、第二次答申草案に関連する同提言のポイントは以下の通りである。
記
草案では、非構造的競争政策の難点として、「環境の変化に応じて不断の見直しが必要とされ、問題後追いとなる場合があること」が指摘されているが、通信分野は技術革新や市場の変化が激しく、将来起こり得るあらゆる変化を考慮して予め政策を策定することは不可能である。むしろ、変化に柔軟に対応して、競争ルール等を見直していくことが不可欠である。
草案では、「業務範囲拡大と地域通信市場での競争促進の関係」、「子会社を通じた業務範囲拡大の在り方」について、現行制度に基づいて考え方を整理するとともに、「今後のブロードバンド化の進展や垂直統合型ビジネスモデルの展開等、新たな市場動向を視野に入れつつ、公正競争確保の在り方については別途検討が必要である」とされている。
これに対し、経団連の第二次提言では、現行制度を前提とせずに、「通信市場において市場支配力を有する事業者がその支配力を梃子に隣接・関連市場に進出する場合、当該市場における公正な競争を歪めるとともに、通信市場における支配力を強めることになる惧れがあり、この観点からも市場支配力を有する事業者に対する競争ルールの策定が求められている」として、改革の方向性を示している。その上で、支配的事業者が不可欠な機能を他事業者に提供する部門と利用者に通信サービスを提供する部門を併せ持つ場合には、
草案では、市場支配的でない事業者への規制が大幅に緩和されたとしているが、現行制度には、第一種・第二種事業区分に基づく事業許可、事業変更許可など、競争促進とは相容れない、むしろ競争を妨げているような規制が残っている。それらを撤廃・緩和し、原則自由な市場を確立すべきである。
経団連の第二次提言では、自由かつ公正な競争を確保するには、「新通信法(競争促進法)」に基づいて競争ルールを策定、執行し、紛争を迅速に処理する機能を強化する必要があるとしている。そのような機能を担う機関は、専ら利用者利益を確保し、公正な判断を下せるよう、
通信分野において、何よりも重要なことは、事業区分を設けて事前規制を課すことで事業運営の適正化・合理化を図るのではなく、利用者利益の最大化に向けて競争が機能する環境を整備し、利用者が自らのニーズに応じて多様で低廉なサービスを選択できるようにすることである。そのためには、現行の事業区分を早急に撤廃する必要がある。
草案では、この事業区分の見直しに関して、「多様なビジネス環境に適合した新たな事業区分のあり方」を検討すべきとしているが、自由かつ公正な競争を促進する上で重要なことは、市場支配力に着目した必要最小限の競争ルールを設け、市場支配力を有する事業者とそれ以外の事業者との間に公正な競争を有効に機能させることにある。そのために支配的事業者規制が導入されたにもかかわらず、新たな事業区分を設けることは、結局、競争促進的な法体系への転換を妨げ、事前規制を維持することにつながりかねない。
(注:原文の丸付き数字は < > に置換)