経団連とメキシコ国際企業連盟(COMCE)は、2001年10月22日〜23日、東京・経団連会館において第24回日本メキシコ経済協議会を開催した。日本側からは川本信彦日本メキシコ経済委員長を団長に約70名が、またメキシコ側からはゴンザレス・サダ団長およびデルベス経済大臣はじめ40名を超える官民の経済関係者が参加し、両代表団は日墨自由貿易協定(FTA)の早期締結を求めていくことを改めて確認した。
日墨自由貿易協定に関して双方代表団から、以下のような意義や重要性が強調された。
日墨FTAは、メキシコの有する豊富な天然資源と優秀な労働力、日本の有する産業資本と技術とを結び付け、双方の産業と経済をさらに発展させる契機となる。
日墨FTAは両国のより強い連帯意識を生み出し、新たなビジネス分野における両国産業界の協力を推進し、日墨関係を一段と緊密かつ建設的なものにする。
31カ国とFTAを結んでいるメキシコは米州におけるFTA先進国であり、北米、中南米、欧州の巨大なトライアングル市場の中心に位置している。日墨FTAは、このトライアングル市場とアジア市場をつなぐ重要な手段となる。
日本側からは以下のより率直な意見が出された。
NAFTA(北米自由貿易協定)と昨年7月のEUメキシコ自由貿易協定の発効により、日本企業は米国、カナダ、EU諸国に比べて、関税面のみならず入札評価の面でも、域外国企業であるためのハンディキャップを負うことになり、対メキシコ・ビジネスにおいて不利な立場に立たされている。対墨経済関係の縮小を強く懸念する。
メキシコは日本企業にとって中南米の重要な生産拠点であり、ここでの競争で欧米企業に後れをとることは、日本企業の中長期的な中南米戦略にも大きな支障をきたすことになる。日本国内の一部産業を保護するために、日墨自由貿易協定の交渉が先延ばしになり、ビジネス上のハンディキャップを負うことは一部産業のために大多数の産業が犠牲になることを意味し、国益上も問題が多い。
日墨両政府間では、すでに「経済関係強化のための日墨共同研究会」が設置され、自由貿易協定の可能性をも含め、包括的な協議が行われている。年内には日本初の自由貿易協定である「日本シンガポール経済連携協定」が締結されることとなっている。こうした状況を踏まえて、日墨両代表団は、この「共同研究会」が両国の消費者や生産者の便益を総合的に判断し、日墨自由貿易協定締結に向けて建設的な提言を行うことを期待するものである。また、日墨両国経済界としても、日墨FTAに対する国民的な理解を醸成すべく、これまでにまして積極的に世論を喚起していかなければならない。
なお、NAFTA向けマキラドーラ制度の代替措置として、本年1月1日に発効したPROSEC優遇税制について、日本側から以下の要望がなされた。
PROSEC優遇税制は、優遇税率対象品目や適用関税率が突然変更されるなど、問題が少なくない。本制度の暫定補完措置としてRegla Octava(レグラオクターバ)利用の認可を受けることも可能であるが、これはあくまでも暫定的な時限措置にすぎない。
メキシコ政府には、PROSEC優遇税制に関する法律の安定性、予見性の確保とともに、対象品目の追加、同優遇税制の恒久化を要望する。また、レグラオクターバの有効期限についても、現在の6カ月間から1年間に延長することも必要と考える。