電波については、国民生活の利便性の向上、新産業・新事業の創出、雇用機会の創造等の観点から注目が高まっている。こうした観点から電波に関する基本戦略を再構築し、電波監理行政、周波数配分政策のあり方を抜本的に見直す必要がある。
電波の利用状況に関する情報の公表は、電波が国民の貴重な資源であることを考えれば当然のことであり、かねてから要望してきた。免許人における効率利用のインセンティブとしても期待でき、新規事業の開拓を目指す者にとっても、意義のある情報となる。
周波数割当計画、無線局周波数表、電波法関係審査基準に加えて、無線局免許情報を公開することは、電波の有効利用の促進にとって意義がある。
次の事項については、通信妨害等悪質な行為の防止、個人情報の保護、競争上の企業秘密の保持、免許人の手間・費用等の観点から非公開、または公開内容を限定とすべきとの指摘が多々有り、十分配慮していただきたい。
無線設備の設置場所、識別信号、電波の型式・周波数及び空中線電力、通信の相手方、指定無線局数(包括免許に限る)、運用開始の期限(包括免許に限る)、無線局免許申請書添付書類等
インターネットによる公開は、電波利用者利便の向上、国民の理解の増進に資するものではあるが、匿名性を利用したいたずらや悪用、テロリズム等の不法暴力破壊活動等への懸念が強いため、懸念を払拭するような工夫をすることが望ましい。
電波について、適切に利用されているか否かの判定を行う判断材料の一つとして、利用度を広く国民に公表するのは、当然である。国民への説明責任の遂行、ならびに、既存システムの周波数有効利用度を再評価し周波数割当ての最適化を図る観点から、電波の利用状況について、できる限り公表していくことが望ましい。
利用状況に関する情報については、定量的な項目、周波数利用技術(効率利用技術、共用技術等)が基本であるが、定性的な項目(耐災害性、信頼性、国家目的との関連性等)についても公表する必要がある。
*定量的な項目例
- 電波需要
売上、市場規模、設備投資額、利用者数・加入者数などの経済的価値、伝送された情報量等- 電波有効利用
デジタル化率、小ゾーン化率等
国民の電波に対する正しい理解を深めるためには、時系列的な情報が望ましく、継続的、定期的に公表すべきである。
免許人の希望があれば免許人自身のコメントを付記することも考えられる。
個別企業が特定され、かつ、非公開の経営に関連する情報については、公開が競争上重要な影響を与えるおそれもあり、その場合は、サービス全体について公表するか、または、極力、営業上、技術上、公開可能な情報のみとすることが望ましい。
調査に際しては、免許人に過大な作業負担を強いることのないよう配慮する必要がある。
なお、「利用度」の評価については「利用目的」との相対関係で論ずべきである。利用度が低いことが直ちに「無用」という評価に繋がるわけではない。
利用状況の公開とともに、既存システムの周波数有効利用度評価の実施、周波数利用効率の低いシステムについての改善措置、制度面での有効利用促進方策、周波数の開拓と周波数有効利用技術の研究開発等を推進する必要がある。
(アンケート結果)
(1) 有効利用効率の評価(2) 電波の割当て
- 行政機関も含め定期的な評価の実施(例:5年周期)
- 行政機関に関する評価のため、国の内部に検討機関を設置 等
(3) 周波数利用効率の低いシステムについての改善措置
- 行政用途を含め電波利用再編成(周波数の共用、帯域幅の見直し、他の周波数帯への移行、他の手段での代替等を含む)の迅速化
- 用途区分の大括り化(交通・物流、通信・放送等)
- 一定時間利用型の割当
- 用途が自由な割当方式の導入
- 割当てられた周波数帯域内で免許人の創意工夫により自由な用途に利用できる帯域免許方式の導入 等
(4) 制度的有効利用促進策
- 最新の周波数有効利用システムへの変更
- 帯域幅の制限、同一周波数を複数のシステムで共用、又は他のシステムへの統合
- 需要の少ない他の周波数帯に代替可能なものは周波数を移行 等
(5) 周波数の開拓と周波数有効利用技術の研究開発
- 国際的な周波数割当、業務区分の見直しの検討
- 国内的な用途区分の見直し
- 無線局に関する厳格な管理・規制の見直し(場所、利用目的、修理等)
- 周波数移行促進のための方策として、費用補償などの既存免許人へのインセンティブ
- システム間の周波数共用環境実現ための技術開発並びに技術基準の整備
- 新たな周波数帯の開発(例えば、ミリ波帯等)
- 国際的標準化活動への寄与 等