地球温暖化問題は、世界各国が一致協力して取り組むべき最重要の中長期的課題である。今の流れの中で京都議定書の批准を急げば、日本だけが深刻な影響を受けることになる。政府は、2002年の議定書発効に固執することなく、米国を含む国々が参加できる国際的な枠組み作りを目指すべきである。
1973年のオイルショックを契機に、日本は省エネルギーに努力し、GDP当たりのCO2排出量はアメリカの約3分の1、欧州の約2分の1に抑えられている。そのため、CO2の追加的削減のためのコストも世界一になっている。
経団連としては、自らの責任において実効ある温暖化対策に取り組んでいるが、今後とも、さらなる技術開発によりCO2排出抑制に貢献していく考えである。政府は、規制や強制により企業の自主性を損なうことなく、中長期的な技術開発等への支援を強化すべきである。
米国抜きの議定書発効をめざす動きがあるが、先進国のCO2排出量の39%を占める米国が参加しない国際的枠組みは、温暖化防止に実効性を持ち得ない。第一ステップとして米国、EU、ロシア、日本等の先進国が参加する仕組みを構築し、第二ステップとして、中国、インドなどの発展途上国の参加を求める必要がある。
雇用対策が内閣の最重要課題となっている。こうした中、環境税の導入などさらなる対策を産業界に求めれば、環境コストの上昇により国際競争力は失われ、国内の雇用情勢はさらに悪化する。追加的な温暖化対策の検討にあたっては、雇用に悪影響を及ぼすことのないように配慮すべきである。
出典: |
『EDMC/エネルギー・経済統計要覧(2001年版)』 日本エネルギー経済研究所計量分析部 編, 2001/01/01 |