[経団連] [意見書]

2001年6月商法改正に伴う 「株式会社の貸借対照表、損益計算書、営業報告書及び附属明細書に関する規則」 の改正に関するコメント

2001年8月29日
(社)経済団体連合会
経済法規専門部会

 本計算書類規則改正案について、法の趣旨徹底と実務負担の軽減という観点から、以下の点について要望する。

1.改正案第45条について

(1) 改正案第45条第1項8の2の「その営業年度中に取得した自己株式」については、改正商法第210条に基づく自己株式の取得によるもののみで足りるものとすべきである。
(理由) 現行どおり財源規制の及ぶ自己株式の取得のみを開示対象とすべきである。
(2) 改正案第45条第3項の定める「取得の事由ごと」の開示は不要である。
(理由) 上記(1)のとおり、財源規制の及ぶ自己株式の取得のみを開示対象とすべきであり、そうすると目的を問わない自己株式取得を認めた今回の改正の趣旨に鑑みれば、取得の事由ごとの開示は無用のものであると考えられるため。

2.改正案第48条第1項第2号について

今回の商法改正に関連する事項ではないが、四分の一超保有会社すべてについて開示する必要性はなく、当該会社が会社の議決権付き株式を保有している場合のみを開示対象とすべきである。また、「会社の株式の数」ではなく、「会社の株式の数(無議決権株式を除く)」とすべきである。後段は、子会社が有する会社の株式の数についても該当する(第47条第1項8号)。
(理由) 議決権が子会社保有又は相互保有によりいくら減じるかについての情報を開示するとの趣旨を明確にするため。

3.その他

ア.資本準備金取崩にかかる取扱いについて
  • 資本準備金の取崩しは、あくまでも資本取引であることから、益金算入により課税されることがないよう留意すべきである。
  • 資本準備金取崩額が配当可能財源に組み込まれて配当されると、損益取引に基づく利益配当と混同し、源泉徴収の対象となるおそれがある。よって、資本準備金取崩に起因する配当相当額(株主への資本払戻し額。有償減資に類似。)は、従前の利益配当と峻別し課税対象とならぬよう、その区分・名称等に留意すべきである。
  • なお、新たに資本準備金取崩額の計算書類への個別記載を求めるのであれば、商法附属明細書において記載している「資本金及び準備金の増減」(第47条第1項第1号)を例えば「資本勘定増減明細書(仮称)」とし、資本の部全体の増減明細を明示すべきではないか(有価証券報告書における「資本金等明細表」のイメージ)。

イ.自己株式処分の場合の取扱いについて
自己株式を処分した際の処分価額と簿価との差額についても、資本取引の範疇で処理するよう留意しつつ、その取扱いを定めるべきである。
以 上

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