2001年5月9日 (社)経済団体連合会 |
政治刷新への国民の強い期待と自民党員の圧倒的な支持を背景に、小泉新総理が誕生したことを、経済界は心より歓迎する。新総理が、「構造改革なくして景気回復なし」との信念を貫き、経済社会の抜本的な構造改革に向け、強いリーダーシップを発揮することを強く期待する。
新内閣は、緊急経済対策を着実に実行するとともに、活力ある経済社会を実現するための基盤整備を進める必要がある。同時に、国民・企業の将来不安を払拭するよう、行財政改革を着実に進めていくべきである。
経済界は、新内閣を全面的に支援し、日本経済の再生に全力をあげて取り組むつもりである。
以上の考えにたって、新内閣が、下記の重要施策に取り組むよう求める。
今通常国会において、株主代表訴訟制度の改善、金庫株の解禁を実現するとともに、確定拠出年金法案及び確定給付企業年金法案の成立をはかる。
また、連結納税制度については、平成14年度に確実に導入する。
申告分離課税への一本化を前提に、有価証券譲渡益課税等の早期見直しを進める。
社会保障制度、地方財政、税制を包括化した、財政構造改革のグランドデザインを早急に策定する。
社会保障については、先ず高齢者医療制度改革を、平成14年度に確実に実施する。
地方財政については、地方交付税の縮減を強力に推進するとともに、市町村合併等により地方分権の受け皿を整備する。
行革大綱に基づき、特殊法人等の情報公開、政策評価を推進するとともに、事業及び組織形態の抜本的見直しを行なう。
ITを活用し、国・地方を通じた行政の簡素・効率化と行政サービスの利便性の向上を実現する。
総合規制改革会議を中心に、経済社会の構造改革を視野に入れ、広範な分野における規制・制度、更には行政の組織・運営も含めた抜本的な改革を行なう。
e-Japan戦略の実現に向けて、自由かつ公正な競争を通じて高速ネットワークインフラの拡充をはかるとともに、コンテンツ流通、個人情報保護を含む電子商取引の発展のための環境整備を進める。
大都市圏のビジネス環境、居住環境の改善に役立つ社会資本を、PFIも活用し整備する。特に、環状道路などの交通基盤、循環型都市基盤、防災型都市基盤などの整備を加速する。また、土地の流動化に向けて、土地住宅税制の見直し、不動産証券化等を推進する。
大学改革を含め科学技術システムの改革を早急に進める。また、平成14年度予算編成にあたって、総合科学技術会議が、科学技術関係の総予算及び重点分野毎の配分を決定する。
経済合理性や環境に配慮しつつ、原子力発電の着実な推進を含め、経済成長、安全保障に不可欠なエネルギーの安定供給を確保する。
また、地球温暖化問題については、米国を含む多国間の枠組みが早期に合意されるよう努める。
包括的な交渉アジェンダを含むWTOの新ラウンド交渉の早期実現に向け、イニシアティブを発揮する。
また、シンガポールをはじめ自由貿易協定を積極的に推進する。