[経団連] [意見書] [ 目次 ]

新たな規制改革推進3か年計画の策定に望む

10.運輸分野


  1. 輸出入・港湾諸手続の簡素化促進およびワンストップサービスの実現
  2. 規制改革要望(2000年10月17日)

    各省庁毎のシステム化を促進する観点から、現行の提出書類を徹底的に見直し、他省庁と重複する資料または単なる参考資料として提出を求められている資料については、一元化あるいは廃止等、一層の簡素化を図った上で、EDI化、ペーパーレス化に移行すべきである。そして、Sea-NACCSによる輸出入手続と港湾EDIサーバによる船舶の港湾諸手続との接続を図り、真のワンストップサービスを実現すべきである。
    さらに、通関手続における現物主義(保税運送申告手続において指定された場所に対象貨が置いてあることを前提とするため、本船入港後に申告を行わなければならない)の廃止等、現状の慣行を含む保税業務全般の抜本的な見直しを図るべきである。

    所管官庁
    国土交通省
    財務省   ほか

    担当課等


    内外からの規制緩和要望等に対する検討状況(中間公表)

    ■措置済み・措置予定  □検討中  □措置困難  □その他  □記載なし

    港湾管理者・港長に係る入出港の行政手続きをEDI化するためのシステム(港湾EDIシステム)を平成11年10月より稼動した。また、入出港における申請者の更なる負担軽減を図るため、港湾EDIシステムと海上貨物通関情報処理システム(Sea-NACCS)とを接続し、複数の行政機関に共通する入出港手続について、同一の回線・端末を使用して1回の入力で各行政機関への手続を行えるよう所要の措置を、平成13年度中を目途に講じる。

    中間公表に対する評価と再要望

    99年10月に、旧運輸省の港湾EDIの稼働ならびに旧大蔵省のSea-NACCSの更改が行なわれ、申請手続のペーパーレス化および双方の入力コードの統一化等が図られたことは評価に値する。
    しかしながら、現状においては、データの共有化が全くなされておらず、ワンストップ化(申請の一括窓口化)を行なう前に、情報の共有化など、入出港の許認可手続の簡素化が緊要の課題となっている。
    今後とも、真のワンストップサービスの実現に向けて、各種行政手続のさらなる簡素化、迅速化、ペーパーレス化を強く要望する。


  3. 特殊車両通行許可の緩和
  4. 規制改革要望(2000年10月17日)

    物流の効率化、低コスト化に資するため、ISO背高海上コンテナ積載車両(高さ4.1m)が通行可能な道路においては、背高海上コンテナ積載車両及びそれ以外の車両について、特殊車両通行許可なしで高さ4.1m以下の車両が通行できるようにすべきである。

    所管官庁
    国土交通省

    担当課等
    道路局道路交通管理課

    内外からの規制緩和要望等に対する検討状況(中間公表)

    □措置済み・措置予定  □検討中  ■措置困難  □その他  □記載なし

    車高4.1mの車両が現に通行し得る道路は、構造において少なくとも路肩端で高さ4.1mの道路空間が必要となる。多様な経路ニーズを有する全ての車両について自由な通行が許容されるためには、実際上そのような構造を備えた道路の全国的なネットワークが必要であるところ、現状において、上記の構造が確保されていない箇所が主要地方道以上で見るとトンネルで約3分の1にのぼり、そのようなネットワークは形成されていない。したがって、車高4.1mの車両の通行については、特殊車両通行許可によることが必要である。

    中間公表に対する評価と再要望

    国土交通省が示している「規制改革要望に対する検討状況」は、1999年度に建設省が示した中間公表と何ら変わっていない。特殊車両通行許可の申請手続きについては、インターネットによる試行運用や経路図の提出部数削減など、一定の措置が講じられており、評価できる。
    しかしながら、車高4.1mの車両が、特殊車両通行許可を得ることによって通行可能となる道路については、これを明示し、その道路に限って、特殊車両通行許可なしで車高4.1m以下の車両が通行できるようにすべきである。
    あるいは、それが不可能な場合、上記の道路の通行について、包括的な許可手続によって、当該許可事業者が保有する全ての車高4.1mの車両の通行を認めるといった措置を講じるべきである。


  5. 航海実歴認定を受けた船長の乗り込む船舶に対する強制水先の免除
  6. 規制改革要望(2000年10月17日)

    期間用船された外国船舶も含め、実歴認定を受けた船長の運航する船舶はすべて強制水先を免除すべきである。

    所管官庁
    国土交通省

    担当課等
    海事局船員部船舶職員課

    内外からの規制緩和要望等に対する検討状況(中間公表)

    □措置済み・措置予定  □検討中  ■措置困難  □その他  □記載なし

    強制水先の免除については、国際的にも自国船が対象となっており、諸外国において日本船舶が、航海実歴をベースに強制水先を免除されている実例は存在しない。このような観点から我が国のみが他国に先がけて外国船舶に対する水先を免除することは困難である。
    また、日本船舶(又は借り入れに係る外国船舶であって船員の配乗が日本船社により行われているもの)については、船舶職員法上の海技免状を有する等、特定の港又は水域を安全に航行するために必要な我が国の海事法令等に精通した船員が法令上の基準に従い乗り込んでおり、船舶運航の観点から全体として安全性が確保されているため免除しているものであり、現行制度を維持することが必要である。
    なお、船舶性能等の進歩は、安全性を向上させるものではあるが、国際的にみても水先人の操船に関する判断を代替するものとはなっていない。

    中間公表に対する評価と再要望

    中間公表においては、他国に例がないことを日本で行なうことについて難色を示しているが、現状を維持する理由としては説得力に欠ける。むしろ、世界の他の港湾に比して魅力に乏しいわが国港湾の国際競争力を高める観点からも、当該規制緩和に取り組むべきである。
    現在、わが国外航商船隊の9割以上で、外国籍船が活用されている。事業者はこれら外国籍船についても、日本籍船と同等の安全運航を行ってきており、強制水先の免除を日本籍船に限定する必要はないと思われる。同じ航海実歴を持つ船長であっても、乗船する船舶により航海実歴認定制度による強制水先の免除が認められないケースが生じるのは不合理である。
    VLCC(大型原油輸送船)の場合、一回の入出港の水先料は約200万円である。海運企業においては、外国籍の船舶の強制水先が免除されることによって、年間3,500万円程度のコスト削減が期待されている。
    水先法は1949年に制定されたものであり、今日に至るまで半世紀間、船舶性能、航行技術、航路監視システムは格段の進歩を遂げている。さらに、日本の航路について十分な知識を有する日本人船長が乗船する外国籍用船が主流となっている。こうした中、船籍によって一律に規制を加えることは妥当性を欠くばかりか、わが国港湾の国際競争力低下を招く主要因の一つになっている。


  7. 分割不可能貨物を輸送する基準緩和車両の輸送規制の緩和
  8. 規制改革要望(2000年10月17日)

    道路運送車両の保安基準に基づく基準緩和車両が定められた経路を運行する場合、回送時においても積載物については分割不可能な単体物品のみに限定されている。しかしながら、輸送の合理化・効率化を図るためには積載条件の緩和が必要であり、規制緩和推進3か年計画において、安全性の確保を考慮しつつ検討し今年度中に一定の結論が出されることとなっているが、早期緩和を図られたい。

    所管官庁
    国土交通省

    担当課等
    自動車交通局技術安全部技術企画課

    内外からの規制緩和要望等に対する検討状況(中間公表)

    □措置済み・措置予定  ■検討中  □措置困難  □その他  □記載なし

    分割不可能貨物を輸送する基準緩和車両の回送時における関係法令の基準内の輸送に関する規制緩和等については、関係法令の基準内の輸送が厳に遵守されることが前提となるため、現在、最近の基準緩和車両の行政処分状況の推移及び交通事故実態の状況を確認中であり、これを基に平成10年9月基準緩和の認定に係る審査の強化等の効果の見極め及び安全性の確保について検討し、今年度中に一定の結論を得ることとしている。

    中間公表に対する評価と再要望

    2000年3月の規制緩和推進3か年計画(再改定)において、基準緩和車両の回送時における輸送規制の緩和について、安全性の確保について引き続き検討し、一定の結論を得るものとされたが、回送時に限らずに緩和すべきである。
    現在、認定、運行されている緩和車両は、トレーラーの車両総重量28トンを超える分割不可能な単体物品の恒常的な確保が極めて困難であるため、場合によっては休止せざるを得ず、経済性からも非効率である。28トンの基準以内であれば、所定の安全対策等をとることによって、複数貨物の積載を認めるべきである。
    上記の措置により複数貨物の積載が可能となれば、経済性が向上し、また、運行車両台数の減少により交通渋滞の緩和など、環境対策上も効果がある。


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