[経団連] [意見書] [ 目次 ]

新たな規制改革推進3か年計画の策定に望む

9.金融・保険・証券分野


  1. 国内MTN(Medium Term Note)プログラムの規制緩和
  2. 規制改革要望(2000年10月17日)

    (要望)
    (1)取締役会決議なしでのMTNの発行、(2)非上場企業の発行、(3)追補書類のFAX送信による提出手続の完了(当日中の原本手渡しの指導の撤回)等を可能とすべきである。

    (理由)
    ユーロ市場並みの自由な資本市場での資金調達を可能とする。

    所管官庁
    法務省
    金融庁

    担当課等
    民事局参事官室
    総務企画局企業開示参事官室

    内外からの規制緩和要望等に対する検討状況(中間公表)

    □措置済み・措置予定  □検討中  ■措置困難  ■その他  □記載なし

    (金融庁)
    取締役会の決議なしでの社債の発行を可能とするためには、商法の改正が必要であり、第一義的には法務省マター。
    なお、発行登録追補書類を含む開示書類について、電子媒体による提出の導入が予定されていることから、本要望は緩和されることとなる。

    (法務省)
    社債の募集は、通常の債務負担行為に比べ会社の財政に影響するところが大きく、株主の利益にも重大な関係を有するものであるので、取締役会の決議で厳格かつ具体的に定められるべきであり、募集時期、償還期限、条件等の細目を代表取締役に委ねることは妥当ではない。

    中間公表に対する評価と再要望

    MTNプログラムは、予め定められた募集時期、償還期限、条件等に基づいてプロの投資家を対象に実施され、その規模・影響も会社毎に異なるものであるため、各社がプログラム設定時に「多額の借財」(商法260条2項)の観点から対応すれば足りると考えられる。
    我が国の金融市場活性化のためには、企業の資金調達の円滑化・便宜化を推進し、欧米市場と比肩すべき水準にすることが必要不可欠であり、このために、一度取締役会でプログラムについて決議を行えば、その後は代表取締役の判断で機動的に発行できるMTNの創設を要望する。
    また、開示についてもプログラム発行という性格に鑑み、個々の発行に関する開示は不要と考える。


  3. 信託銀行が信託財産の資産運用目的で株式を取得・所有する場合の株式保有制限の緩和
  4. 規制改革要望(2000年10月17日)

    (要望)
    信託銀行が信託財産として株式を取得・所有する場合の株式保有制限を緩和する。

    (理由)
    1. 信託銀行が信託財産の資産運用目的で株式を取得・保有する場合、議決権行使は運用行為の一環として受益者の利益のみを考えて行使されており、また信託銀行の財産とは分別管理・運用され議決権行使の観点も異なることから、信託銀行による事業支配力の集中化につながる懸念はない。
    2. 信託委託者の機動的・効率的資産運用に資する。

    所管官庁
    公正取引委員会

    担当課等
    経済取引局企業結合課

    内外からの規制緩和要望等に対する検討状況(中間公表)

    □措置済み・措置予定  ■検討中  □措置困難  □その他  □記載なし

    公正取引委員会では、「金融会社の株式保有制限の見直し」という項目の中で、「金融会社が事業会社の株式を保有した場合、それが比較的低い持株比率であっても、資金供給による影響力とあいまって、事業会社に対する支配力が容易に形成されることにより、金融会社が多数の事業会社を支配下において企業グループを形成し、金融会社の事業支配力の集中化が進むおそれがあること等の問題がある」と説明した上、「検討中」と回答している。

    中間公表に対する評価と再要望

    中間公表における回答は不十分と考える。
    信託銀行は、普通銀行同様に自己の銀行勘定で保有する株式に加え、信託銀行の特性として、委託者から信託された財産の資産運用を目的として信託勘定で株式(委託者が受託者に対し議決権指図できないもの)を保有している。
    このうちの後者については、事業支配力の集中化懸念のない株式であり、「5%ルール」との関連で当局がモニタリングする必要性は薄い。
    今後、信託委託者の資産運用を機動的・効率的に行うためにも、本規制の緩和を再度要望する。


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