経団連は、96年に新事業開拓へ向けて取組む企業の成功例・失敗例や得られた教訓を整理した「日本型コーポレート・ベンチャーを目指して」をとりまとめ
低迷する経済を再生させるためには、政府による環境整備に加え、企業が戦略的な事業再構築といった改革に取組むことが喫緊の課題であり、企業の主体的な努力が必要。そこでこのたび、大企業における起業家精神の発揮やベンチャー的取組みを加速させるために、コーポレート・ベンチャーの推進策を整理
コーポレート・ベンチャーの意義
人材、技術、資本等の資源の宝庫である既存の企業は、新産業・新事業の中核的な担い手。企業が有する資源を新たな事業機会の獲得に結び付け、社内活性化と自己改革を推進するためのツールであるコーポレート・ベンチャーの推進が重要
コーポレート・ベンチャーを推進する主体のあり方
社内の環境整備
経営トップがリーダーシップを発揮して、潜在的に起業家精神を備えた社員を育て、支援する環境の整備
分社化におけるMBO(Management Buy-out)手法の活用
熱意のある社内起業家に任せるという観点から、新事業を母体企業から切り出して継続させるなど分社化を行う場合に、外部資本の導入を伴うMBOを活用
活性化促進のための企業間連携
モラルハザードを来さぬよう留意しつつ、リスクの高い事業に挑戦するベンチャーの機動的な活動のための仕組みの整備
柔軟な企業活動の支援促進
投資環境の整備
リスクマネーを呼び込み、直接金融市場を活性化させるためには、ベンチャー・キャピタル税制の導入やエンジェル税制の拡充が必要
人材の流動化促進に向けた柔軟な確定拠出型年金制度の整備
2001年1月目途の確定拠出型年金制度の導入にあたり、許可基準や契約要件の範囲を労使合意前提に柔軟な制度設計が可能とすることに配慮
日本型倒産法制の機能化
民事再生法(破産原因発生前の早期申立て、強制執行等の包括的禁止命令などの制度創設等)[99年12月公布]の活用
教育界と産業界との連携強化
特別講師として産業人を受入れて懇談の機会を設けること、経済活動現場での教師・児童・生徒の体験学習の実施など