我が国は、アジアの経済発展における役割の大きさを再認識し、まず、構造改革を進め、経済活力を維持するための基盤構築を急がねばならない。我が国企業は、体質強化を図るとともに、透明性の向上、企業統治の徹底、説明責任の履行などに努め、その経験をアジア諸国の企業と共有していきたい。
我が国は、アジア諸国の実情を踏まえた貿易・投資の自由化の推進に努める。その一環として、WTO新ラウンドの早期開始に向け、アジア諸国との対話を進める。また、AFTA構想の実現を促すとともに、二国間協定についても積極的に検討すべきである。
我が国はじめアジア諸国は、金融システムの健全化と為替の安定化に引き続き取り組むべきである。その一環として、我が国は金融分野における人材育成や技術移転に関する官民による支援を強化する必要がある。また、短期資本市場の動きに関しては、マニラ・フレームワークを強化すべきである。さらに、我が国としては、円の国際化のため、官民のコンセンサスのもとで、あらゆる分野での円の利用促進を図るとともに、アジア諸国の政府及び企業による円の利用促進を期待する。
アジア各地における産業競争力強化に関し、我が国企業は事業拡大を通じて貢献しうるが、民間債務問題の解決がその前提となる。また、次世代インフラの整備の支援に重点的に取り組むことも重要であり、その際、民間プロジェクトへの波及効果の高い支援を効率的に実施していくべきである。さらに、アジアにおける人材育成に関し、民間参加を促すことにより、一層の協力を行なう必要がある。