[ 日本経団連 ]

東北地方太平洋沖地震により被害を受けた
派遣労働者への配慮に関する要請書

2011年3月28日
(社)日本経済団体連合会

このたび、東北地方太平洋沖地震により被害を受けた派遣労働者への配慮について要請がございましたので、以下の通り、お知らせいたします。


平成23年3月28日

平成23年東北地方太平洋沖地震により被害を受けた
派遣労働者への配慮に関する要請書

労働者派遣事業関係業務の推進につきましては、日頃より御尽力を賜り感謝申し上げます。

3月11日に発生した平成23年東北地方太平洋沖地震により、多数の尊い人命が失われ、かつ、甚大な経済的被害がもたらされました。犠牲となられた方々に対し、心より哀悼の意を表させていただきます。

今般の震災及びこれに伴う計画停電の実施により、今後相当の期間にわたり、経済活動と雇用への重大な影響が生じることが懸念されており、特に、急激な事業変動の影響を受けやすい派遣労働者については、その解雇・雇止めにより、生活の基盤となる職場を失うおそれがあります。

このため、派遣先事業主の皆様におかれても、「派遣先が講ずべき措置に関する指針」(平成11年労働省告示第138号)に規定する派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置を講じていただくとともに、派遣労働者の雇用の安定とその保護を図るための最大限の御配慮をお願いいたします。

まず、派遣労働者が就業場所を失うことのないよう、現在締結されています労働者派遣契約についてはできる限り継続されるようお願いいたします。

さらに、やむを得ず労働者派遣契約を継続しない場合であっても、休業等により生じる派遣元事業主の損害を契約に基づき適切に賠償することや、関連会社における就業をあっせんする等により派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることに努めていただくようお願いいたします。

このように、派遣労働者の雇用維持・確保に向けて、上記のとおり、貴団体の会員企業に対し、御協力をお願いしたく、周知啓発されるようお願い申し上げます。

厚生労働大臣
細川律夫

派遣先が講ずべき措置に関する指針(抄)

(平成11年労働省告示第138号)

第2 派遣先が講ずべき措置

6 派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置

  1. (1) 労働者派遣契約の締結に当たって講ずべき措置
    派遣先は、労働者派遣契約の締結に当たって、派遣先の責に帰すべき事由により労働者派遣契約の契約期間が満了する前に労働者派遣契約の解除を行おうとする場合には、派遣先は派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ること及びこれができないときには少なくとも当該労働者派遣契約の解除に伴い当該派遣元事業主が当該労働者派遣に係る派遣労働者を休業させること等を余儀なくされることにより生ずる損害である休業手当、解雇予告手当等に相当する額以上の額について損害の賠償を行うことを定めなければならないこと。また、労働者派遣の期間を定めるに当たっては、派遣元事業主と協力しつつ、当該派遣先において労働者派遣の役務の提供を受けようとする期間を勘案して可能な限り長く定める等、派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な配慮をするよう努めること。

  2. (2) 労働者派遣契約の解除の事前の申入れ
    派遣先は、専ら派遣先に起因する事由により、労働者派遣契約の契約期間が満了する前の解除を行おうとする場合には、派遣元事業主の合意を得ることはもとより、あらかじめ相当の猶予期間をもって派遣元事業主に解除の申入れを行うこと。

  3. (3) 派遣先における就業機会の確保
    派遣先は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に派遣労働者の責に帰すべき事由以外の事由によって労働者派遣契約の解除が行われた場合には、当該派遣先の関連会社での就業をあっせんする等により、当該労働者派遣契約に係る派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ること。

  4. (4) 損害賠償等に係る適切な措置
    派遣先は、派遣先の責に帰すべき事由により労働者派遣契約の契約期間が満了する前に労働者派遣契約の解除を行おうとする場合には、当該労働者派遣契約に(1)に掲げる事項の定めがない場合であっても、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることとし、これができないときには、少なくとも当該労働者派遣契約の解除に伴い当該派遣元事業主が当該労働者派遣に係る派遣労働者を休業させること等を余儀なくされたことにより生じた損害の賠償を行わなければならないこと。例えば、当該派遣元事業主が当該派遣労働者を休業させる場合は休業手当に相当する額以上の額について、当該派遣元事業主がやむを得ない事由により当該派遣労働者を解雇する場合は、派遣先による解除の申入れが相当の猶予期間をもって行われなかったことにより当該派遣元事業主が解雇の予告をしないときは30日分以上、当該予告をした日から解雇の日までの期間が30日に満たないときは当該解雇の日の30日前の日から当該予告の日までの日数分以上の賃金に相当する額以上の額について、損害の賠償を行わなければならないこと。その他派遣先は派遣元事業主と十分に協議した上で適切な善後処理方策を講ずること。また、派遣元事業主及び派遣先の双方の責に帰すべき事由がある場合には、派遣元事業主及び派遣先のそれぞれの責に帰すべき部分の割合についても十分に考慮すること。

  5. (5) 派遣先は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に労働者派遣契約の解除を行う場合であって、派遣元事業主から請求があったときは、労働者派遣契約の解除を行う理由を当該派遣元事業主に対し明らかにすること。


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