経団連タイムス No.3079 (2012年3月22日)

サイバー空間における国際的ルールづくりの動向で説明聞き意見交換

−情報通信委員会企画部会


経団連は7日、東京・大手町の経団連会館で情報通信委員会企画部会(武山芳夫部会長)を開催し、総務省情報通信国際戦略局国際政策課の仲矢徹課長からサイバー空間における国際的ルールづくりの動向について説明を聞き、意見交換した。仲矢課長の説明概要は次のとおり。

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インターネットが広く普及し、「アラブの春」のようにソーシャルメディアを使った民主化運動が活発化するなど、インターネットはいまや政治、経済、社会に広く浸透している。このようななか、情報セキュリティー対策やインターネット上の個人情報の取り扱い、インターネットガバナンスなどについて、サイバー空間における国際ルールの策定に向けた議論が世界的に活発化している。

昨年はG8ドーヴィルサミットをはじめとするさまざまな国際会議のほか、国連総会の下の2つの委員会においてもサイバー関連の議論がなされた。ここで中国・ロシア等が、政府が政権を不安定にする可能性があると判断した情報の流布を阻止できること等を内容とする「情報セキュリティーのための国際行動規範」案を提案したことは、大きな反響を呼んだ。

特に、欧米諸国はインターネットに関する閣僚級会合でインターネットの自由の確保を重視する旨のスピーチを行い、中国やロシアと異なる見解を持つことを明言した。

日本政府は、米国との政策対話を行うなか、今年1月に日米ICTサービス通商原則を策定した。同原則は先に米EU間で合意された同様の原則を参考にしたものであるため、インターネット上の情報の自由流通の促進という原則を日米欧で共有することとなった点に大きな意義がある。同原則には法的拘束力はないが、同様の考えを一層多くの国と共有すべく今後、第三国に対して同原則を採用するよう働きかけていきたい。

不透明なネット規制によりビジネス活動が阻害されることがないようにするためには、国際ルールづくりのなかでわが国の意見を反映させることが必要である。そのためには、政府と産業界がさらに積極的に国際会合へ参画することが重要であり、産業界と協力して取り組んでいきたい。

【産業技術本部】
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