経団連は21日、「環境自主行動計画〔循環型社会形成編〕2011年度フォローアップ調査結果」を取りまとめ公表した。同計画のフォローアップを毎年度行うことで、経団連は、循環型社会の形成に向けた産業界の主体的な取り組みを推進している。
調査結果の概要は次のとおり。
2010年度の産業廃棄物最終処分量(31業種=注)の実績は、約624万トンとなった。これは、1990年度実績の約89.4%減の水準に相当する。自主行動計画は、産業廃棄物の最終処分量を2010年度に1990年度比で86%減とすることを目標としており、これを最終的に達成した。
これまでに、大幅削減を実現してきた産業廃棄物最終処分量は、ここ数年削減ペースが緩やかになっている。2008年度以降、景気低迷や公共事業削減等による建設工事の大きな落ち込み等の結果、大幅な減少となった。ただし、セメント産業においては、国内のセメント需要の低迷により生産量が減少し、他産業から多くの産業廃棄物を受け入れることが難しくなっているなど、これ以上の削減は限界に近づいている。
産業廃棄物最終処分量の削減目標以外の「業種別独自目標」は、現在40業種が掲げている。個別業種版では、各業種の特性や事情に応じて、再資源化率の向上、事業系一般廃棄物最終処分量の削減など、それぞれの取り組みをわかりやすく開示するよう努めている。
わが国は資源小国であり、中長期的には資源・エネルギーの需給逼迫が予想される。そのため、産業廃棄物最終処分場の逼迫問題や廃棄物の適正処理の必要性といった観点にとどまることなく、資源政策の観点からも、循環型社会形成に向けた取り組みの推進が引き続き求められる。
そこで経団連では、2011年度以降の新しい目標として「2015年度の産業廃棄物最終処分量を2000年度実績の65%程度減」を掲げた。同目標により産業界は、2011年度以降も、排出者責任に基づいた廃棄物の適正処理の確保はもちろんのこと、各業種の特性・実情等に即しながら、主体的かつ積極的に3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進に努めていく。
ただし、2011年度以降の産業廃棄物最終処分量については、今後の生産動向によっては、増加する可能性がある。また、現行の環境技術や法制度のもとで、これ以上の削減が限界に近づいている業種も多いことから、循環型社会の形成に向けた政策的支援や規制改革を政府に対して引き続き求めていく。