経団連タイムス No.3078 (2012年3月15日)

廃棄物処理行政の課題と今後の取り組み聞く

−環境安全委員会廃棄物・リサイクル部会


経団連は2日、東京・大手町の経団連会館で環境安全委員会廃棄物・リサイクル部会(吉川廣和部会長)を開催した。当日は伊藤哲夫・環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長を招き、廃棄物処理行政の課題と今後の取り組みについて説明を聞くとともに意見交換を行った。
伊藤部長の説明概要は次のとおり。

■ 災害廃棄物等の処理について

東日本大震災における大規模な津波により、膨大な量の災害廃棄物が発生した(岩手県で通常の約11年分、宮城県で通常の約19年分)。被災地復興のためには、この災害廃棄物の円滑な処理が必要不可欠である。

そこで、廃棄物処理法にかかる特例措置を設けるだけでなく、災害廃棄物の処理指針(マスタープラン)ならびに復興施策に関する事業計画および工程表等を作成し、処理推進体制、財政措置、処理方法、スケジュール等を取りまとめた。同指針では、2012年3月末を目途に災害廃棄物を仮置場へ移動させ、14年3月を目途に中間処理・最終処分を終了させる予定である。

被災地では、仮設焼却施設等を設けて災害廃棄物の処理を行っている。廃棄物の量に比べて処理能力が不足しており、被災地以外での広域処理が必須である。そこで、現在、環境省は、被災地と受け入れ自治体との間に立って調整を行っている。

広域処理の対象となる廃棄物は、放射能濃度が不検出または低く、通常の処理が可能なものに限っている。

放射性物質に汚染された廃棄物や土壌等の処理については、放射性物質汚染対処特措法を制定し、処理に関する基準などを設定した。

■ 循環型社会構築のための取り組みについて

現在パブリックコメントに付されている第四次環境基本計画案では、「質」にも着目した循環資源の利用促進・高度化などを、重点的な取り組み事項として挙げている。そこで、小型家電等の使用済み製品から有用金属の回収を推進する新たなリサイクル・システムを構築するため、「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律案」を今国会に提出する予定である。

また、不法投棄等の支障除去等基金については、2012年度までは現行の支援スキームを維持する。13年度以降は新たな枠組みに移行する予定で、今年夏までに何らかの結論を得たいと考えている。

さらに、PCB廃棄物の今後の処理推進方策については、「PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会」において検討を行っている。12年度の早い段階での取りまとめを目指している。

【環境本部】
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