経団連は8日、東京・大手町の経団連会館で、「化学物質の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)」対応のための制度改正等に関する説明会を開催し、経済産業省、厚生労働省の担当官から改正内容等についての説明を受けた。
GHSとは、2003年に国連が制定した化学物質の危険有害性を分類・表示するシステムであり、国際的に共通の分類・表示方法を定め、危険有害性の情報伝達を行いやすくするものである。国内でGHSに関係するのは、化学物質排出把握管理促進法(化管法)に基づいて、化学物質管理のガイドラインとしてまとめられている化学物質管理指針や化学物質に関する情報表示・提供に関わるMSDS(化学物質等安全データシート)制度、労働安全衛生法(安衛法)等である。今後GHSに対応するために化学物質管理指針とMSDS省令が改正され、安衛法の規則に努力義務が追加されることとなっている。
改正内容等についての説明は次のとおり。
化学物質管理指針については、改正により、「指定化学物質の取扱いに関する情報の活用に関する事項」が新たに設けられ、GHSに対応するJISに従い、化学物質の自主的な管理に努めることが追加される。
MSDS省令については、MSDSによって提供すべき情報をGHSの16項目と整合させるとともに、記載方法はJISに従うことが努力義務化される。また、化管法に基づき提供すべき指定化学物質等の性状および取り扱いに関する情報について「ラベル表示」をJISにより行うことが新たに努力義務化された。
なお、従来はMSDSとラベルの2つに分かれているGHSに対応した情報伝達のJISを統合し、GHSに対応した情報伝達の共通基盤となる新JISが2012年度中には策定、公示されることとなっている。
安衛法では、これまで指針に基づく指導勧奨とされてきた、すべての危険有害な化学物質を対象とした、譲渡・提供時、作業場の表示等について、安衛法の規則を改正し、努力義務化する。
意見交換では、欧州委員会によるGHS分類と、国内での分類の整合が取れていないため、改善を図るようにしてほしいなどの意見があった。