経団連(米倉弘昌会長)は、提言「新型インフルエンザ対策の早期確立を求める」を公表した。政府は、現在開かれている国会に鳥由来の新型インフルエンザ対策のための法案を提出する見込みである。そこで今回の提言では、わが国の健康危機管理体制の構築に法的な基盤を与える法案の早期成立を求めた。また、法律で規定しきれない実務上の課題解決についても、危機発生時における社会機能維持の観点から政府の取り組み強化を要請した。提言の主な内容は次のとおり。
- (1)社会機能の維持に関わる事業者の明確化
- (2)ワクチン接種等に関する環境整備
- 新型インフルエンザワクチンにかかる接種の優先順位、実施者、医療従事者の協力確保、備蓄、接種手順、費用負担等について早期かつ明確に規定
- 社会機能維持に関わる事業者に対するワクチン接種の早期化推進
- (3)パンデミック時における法令等の弾力運用
- 対象となる法令等の事前リスト化・定期的な見直し
- 民間との連携・協力を確保する仕組みの準備(時間外労働等の労働規制、各種事業法に基づく点検・検査等の届出等)
- (4)BCP(事業継続計画)の実効性確保
- BCP上の官民の役割分担の明確化
- BCPを策定する中小企業への支援強化
- (5)政府の指揮命令系統の一元化、適時適切な情報発信
- 政府の指揮命令系統の一元化、危機管理法制の遵守等
- 危機管理法制が確実に遵守されるような体制の整備
- (6)国外の在留邦人に対する適切な対処
さらに、経済界としても、平時はもとより有事の際、政府が発動する国民の生命・健康の保護、国民生活および経済社会の安定確保のための対策には全面的に支援・協力していくことを言明。法制面の整備が進むなか、官民が連携し実効性ある対策としていくことの重要性をあらためて強調した。