内閣官房新型インフルエンザ等対策室は12月14日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、新型インフルエンザ対策新法の論点説明を行うとともに、経済界の意見・要望を聞いた。企業は、昨年3月の東日本大震災の経験から、危機発生時の事業継続マネジメントに大きな関心を寄せており、当日は活発な意見交換が行われた。
冒頭のあいさつで、新型インフルエンザ等対策室長の田河慶太内閣審議官は、(1)検討すべき課題は広範かつ関係者も多岐にわたることから、関係者との意見交換等を通じ、検討を進める(2)法制化が必要となれば次期通常国会に提案することも視野に入れて考える必要がある――との政府の方針を紹介。法制化にあたっては、経済界の意見・要望を広く聴取したいとして協力を要請した。
これを受けて、経団連国民生活委員会の松井憲一企画部会長は、今回の政府の取り組みを歓迎するとしたうえで、実効性のある対策を規定する新法となるよう、経済界の声を新法策定に反映してほしいと要望した。
続いて、新型インフルエンザ対策室から、法制化にあたっての論点整理が示され、経団連からは、本件に関する要望が表明された。
以上を受けて、会場から、政府の取り組みは大変心強く、ぜひ既往の対策を網羅する新法を策定してほしいとの期待が寄せられたほか、ワクチン政策など、社会機能維持者に対する早期の安全確保策の確立を求める声が上がった。また、東日本大震災の経験から、政府の情報発信を改善すべきとの意見や、震災直後の超法規的な政治判断が国民生活の混乱につながったことを反省し、法を定める以上、危機発生時にはそれを遵守すべきなどの意見が寄せられた。
これに対し、田河審議官は、多くの意見・要望が出たことに謝意を示したうえで、関係省庁と緊密な連携を取り、迅速な検討を進めたいと言及。また、今後とも意見・要望があれば指摘してほしい旨協力要請があった。