経団連タイムス No.3069 (2012年1月12日)

関水IMO事務局長と懇談


経団連は12月8日、東京・大手町の経団連会館で、関水康司・国際海事機関(IMO)次期事務局長(今年1月1日に事務局長に就任)との懇談会を開催した。IMOは国連の専門機関であり、日本人が事務局長に就任するのは初めてである。当日は海洋開発推進委員会の元山登雄委員長が司会を務め、宮原耕治副会長、芦田昭充・評議員会副議長をはじめ約70名が出席し、関水氏から国際海事機関の活動と海賊対策について説明を聞いた。会合の概要は次のとおり。

■ 新事務局長としての抱負

海洋の重要性が増すなかで、国際社会の諸課題に全力で取り組みたい。私が考えているIMOの運営方針は6点ある。

1点目に、2012年は1912年にタイタニック号が沈没してから100年に当たるので、船舶の安全に関する国際シンポジウムを開催したい。

2点目に、12年は92年に地球環境サミットが開催されてから20年であり、持続的発展に関する国連の会議が再びリオデジャネイロで開催されるので、持続的な海上輸送システムについて産業界と議論したい。

3点目に、海賊対策が重要であり、これは後述する。

4点目に、発展途上国のニーズを的確に把握して、日本やヨーロッパの国々とともに技術協力やキャパシティー・ビルディング(能力の向上)を行う。

5点目に、海上セキュリティーの確保に向け、東アフリカの国に技術協力をして海上保安庁のような法的執行機関を設立することが必要である。

6点目に、IMOの組織を見直す。

■ 海賊対策の現状

ソマリア沖の海賊の発生件数は急増しており、特に2011年は260件発生した(11月15日現在)。海賊の活動範囲はソマリアからインド洋にかけての1500マイルまで拡大しており、海軍による防衛には限界がある。そこで、民間の武装警備員や海軍を乗船させることで、船舶を守ることが考えられる。

IMOは30年にわたり海賊問題に取り組んでおり、各国政府や船主などに向けた海賊対策に関するガイダンスやアクションプランを策定している。民間武装警備員の乗船を認めるかについては、船舶の旗国が最終的に判断するというのがIMOの立場である。

海賊対策としては、海軍によるオペレーション、船舶の自己防衛、地域のキャパシティー・ビルディング、ソマリア国家の再建を総合的に行うとともに、国連の安全保障理事会と連携していくことが必要である。

<意見交換>

芦田副議長が、民間や公的な武装警備員の乗船についての早急な対応を求めたことに対して、関水氏は、「2012年には、民間武装や公的武装について、旗国としての立場や海運業界への影響について重要な議論が行われるだろう」と答えた。

【産業技術本部】
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