経団連は11日、東京・大手町の経団連会館で、資源・エネルギー対策委員会(井手明彦委員長)を開催した。当日は、資源エネルギー庁の糟谷敏秀・電力・ガス事業部長から、今後の電力対策について説明を聞くとともに意見交換を行った。糟谷部長の説明概要は次のとおり。
発電構成に占める原子力の割合が大きい電力会社ほど、定期検査による原発の稼働停止の影響を大きく受ける。そのため、今冬・来夏の電力需給の見通しは、各電力会社によって異なる。
今冬の電力需給については、日本全体としてはほぼ拮抗する見通しである。
政府として、計画停電や電気の使用制限令の発動は行わない。ただし、関西電力および九州電力は、発電構成に占める原子力の割合が大きく、ピーク電力不足が懸念されるため、両管内の需要家には数値目標を伴う節電要請を行う。また、その他の需要家には、数値目標なしの一般的な節電を要請することとしている。
来夏の電力需給については、原発の再起動がなく、昨年の夏並みのピーク需要となった場合、日本全体として約1割のピーク電力不足となる見通しである。
政府としては、こうした状況であっても、計画停電や電気の使用制限令の発動を回避することを目指す。そこで、2011年度予算と規制制度改革によって、省エネや電力供給拡大の努力を後押しする。その際は、(1)電力需要の見える化の徹底(2)需要家による省エネ促進(3)多様な主体が参加した供給力増強支援――の3本の柱で支援していく。
一方、来夏の電力需給ギャップは、(1)予備率3%の確保(2)気温の変動(3)電力会社の供給力脱落(4)政策効果の変動幅の大きさ――などの要因により拡大するリスクがある。したがって、政府としては、数値目標を含む節電要請や、電力会社による供給力の積み増しを更に追求することを考えている。
原子力発電については、福島第一原発の事故の徹底検証を行うとともに、より高い安全性を確保することが大前提である。
そのうえで、「我が国原子力発電所の安全性の確認について」(2011年7月11日決定)の政府方針に基づき安全性が確認された原子力発電所の再起動を進める。
なお、具体的な再起動については、内閣総理大臣、官房長官、経済産業大臣、原子力担当大臣が判断することとしている。
短期・中期・長期からなる「革新的エネルギー・環境戦略」を政府一丸となって策定すべく、現在、「エネルギー・環境会議」を中心に検討を行っている。今後は、年末に戦略の基本方針を定め、来年夏ごろに「エネルギー基本計画」を含む「革新的エネルギー・環境戦略」を策定する予定である。