ハモンド英国防衛相(左)とグリーン英貿易投資相 |
経団連の米倉弘昌会長、横山進一ヨーロッパ地域委員会共同委員長は10月31日、東京・大手町の経団連会館で、英国のフィリップ・ハモンド国防大臣、スティーブン・グリーン貿易投資担当大臣(グリーン卿)と懇談した。
冒頭、米倉会長は、経団連はかねて日・EU経済統合協定(EIA)の促進を訴えてきており、東日本大震災からの復興に取り組む日本にとってその重要性が一層高まっていると発言。そうしたなか、スコーピング(交渉の範囲および野心のレベルを定めるための議論)を早期に終了させるためにも、非関税問題の解決に向けて業界間対話が行われていることを紹介した。
これに対してグリーン貿易投資担当大臣は、キャメロン首相はじめ英国政府が、双方に利益をもたらす日EU・EIAの交渉開始に全面的にコミットしていると発言した。英国は「スコーピングの段階で非関税問題をすべて解決する必要がある」との一部EU加盟国の主張にはくみせず、スコーピングを速やかに終了し交渉を開始して、非関税問題等を詳細に検討すべきであると述べた。また、日EU・EIAのように、締結する価値のある協定には常に困難が伴うものであり、交渉開始に向けて、業界間対話などを活用し、主要セクターにおける非関税問題が解決可能であることを早急に示す必要があると指摘した。
ハモンド国防大臣は、日本の武器輸出三原則の見直しによって、両国企業の間に新たな機会がもたらされると述べ、計装品の開発やサイバーテロ対応に関する技術連携など、防衛・安全保障分野における二国間協力に強い期待を表明した。また、英国政府は「ユーロファイター・タイフーン」の性能を高く評価しており、日本の次世代戦闘機として強く推奨。日本が同機を導入した際には、各種コンピューター・プログラムのソースコードの共有を含む技術移転が可能となり、日本の航空宇宙産業の再活性化につながると強調した。
米倉会長は、新たな分野での日英協力の実現に向けて、経団連としても、引き続き日本政府に武器輸出三原則の見直しを働きかけていくと応じた。