経団連タイムス No.3064 (2011年11月17日)

G20ビジネス・サミットに参加

−米倉会長、わが国エネルギー政策の現状をラウンドテーブル討議で説明


発言する米倉会長(3日、カンヌ)

G20ビジネス・サミットが2、3の両日、フランスのカンヌで開催され、経団連からは米倉弘昌会長、西田厚聰副会長、奥正之副会長が参加した。今回のビジネス・サミットでは、事前に取りまとめた提言をG20サミットの議長国であるフランスのサルコジ大統領に提出するとともに、その提言を議論の材料として、各国の経済団体や企業の代表が、G20各国の首脳や国際機関の代表を交えて議論した。

直前に欧州の債務危機に関する包括的戦略がまとまる一方、ギリシャの国民投票をめぐる騒動も相まって、欧州の債務危機が会議にも影を落とした。主催者であるフランス経団連のパリゾ会長は、開会あいさつで、「欧州というものの存在を信じているし、今こそ欧州合衆国でなければならない」と強調した。夕食会で講演したラガルドIMF専務理事も、債務危機に関する合意を何としても実現しなければならないというユーロ圏首脳の固い決意を強調した。

今回のビジネス・サミットでは、世界経済が変調を来すなか、(1)経済界として雇用を生み出していくという使命を果たすためには投資が必要であり、そのためには自由かつ安定的で透明性の高い事業環境や政策の枠組みが必要である(2)G20各国政府が、一時の国民感情に流されて保護主義やポピュリズムに陥ることなく、真に必要な政策を迅速かつ着実に実行するよう、経済界として働きかけを強めていかなければならない――ことが強調された。

米倉会長、西田副会長が参加したエネルギーに関するラウンドテーブル討議では、共同座長を務めた米倉会長が、わが国のエネルギー政策をめぐる現状を説明したうえで、ビジネス・サミットの提言、(1)CDM(クリーン開発メカニズム)や二国間オフセットメカニズム(注)を活用してエネルギー効率の改善を進める(2)政府による規制や基準が新規のエネルギー関連プロジェクトの実施を妨げないようにする(3)シェールガス等の非在来型の炭化水素資源に関する研究開発を継続する(4)再生可能エネルギーの導入にあたっては、各国の事情に応じてインセンティブを検討する(5)原子力の安全性に関する国際的な監視体制を改善する(6)途上国におけるエネルギーへのアクセスを改善する――ことを紹介した。

野田佳彦総理は、奥副会長とともに金融規制のラウンドテーブル討議に参加し、民間および政府が抱える過剰債務が実体経済にまで波及し、債務問題を悪化させるという負の連鎖をいかにして防ぐのか、英知を結集して解決策を探る必要があると前置きしたうえで、90年代の日本の経験にも言及しながら、金融規制の改革と実体経済への配慮との間の適切なバランスを取ることなど金融セクターが直面している課題を指摘した。

(注)先進国と途上国の個別合意による排出枠移転の枠組み
【国際経済本部】
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